7年ぶりの初めまして(全39話)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
とある夜、中々に寝付けずにいた私は立ち上がり布団から出ると庭にある岩に腰を下ろし空を見上げた。
雲もなく、広い夜空には月と星が輝いているそれを見上げていればすぐ目の前の塀にに白い影が降り立った。
突然のそれに驚いていれば白い影はマントを風になびかせておりそして私を振り返ってきて、そう、彼は
「こんにちは、お嬢さん」
「怪盗キッド」
こんな時間にこんな場所で何をしているのだろうかと首をかしげて見せればキッドはヒラリと塀から降り私に向かってキザッたらしく頭を下げるとニコリと笑い私が問いかけたのは
「何してるの君」
というもの。
まあ何をしているのかって怪盗と言われているのだからそういったことなのだろうけど何故私の家の塀にいたのだろうかとその考えにキッドは気付いたようで私の前まで近寄ると片手を取られ手の甲に口付け一つ。落とされる前に手を引き
「私恋人いるからそれは許せない」
と。私のその態度に一瞬キッドはキョトンとするがすぐ微笑みを浮かべ
「それは失礼しました」
そう頭を下げてきて私は手を伸ばすとキッドの帽子を取り上げてみた。
「あっ!ちょっと…!?」
と慌てたキッドを見ればまだ幼いであろう顔が月の下に浮かび上がり
「若いな君」
そう呟いてしまった。
キッドはすぐ帽子を私の手から取り返すと被り直し距離を置かれ
「では、お嬢さん」
また再び会える時が来れば、そう口にするとポンッという音と白い煙と供にキッドは消え去ってしまいポツリと思ったのはコナン君に似てるなというもの。
といってもコナン君はまだ小学生だが大きくなればキッドのような顔立ちになるだろうと一人納得すると自室へと戻って布団に潜り込んだ。
そうすれば先程とは変わってあっという間に睡眠へと入ってしまい、翌朝は四時半に目を覚ますと道着に着替えると髪をまとめあげ集まっている門下生と朝の走り込みにでかけた。
空は快晴、風もそれほどなくいい天気になりそうだと思いつつ折り返し地点を見つめればそこにはトレーニングウェアを着た零がいて、思わず笑ってしまうと門下生に
「いつものように」
と指示をだし折り返して走っていくその背を見つめしばらく離れた所で私は零に声をかけた。
「おはよう零」
「おはよう奈々」
そう言葉を交わしあうと零はフードを脱ぎ私の顔をそろりと撫でてきて「久し振り」と声をかけられた。なので私も零の手を掴むと同じように「久し振り」と笑いかけなんだかご機嫌だねとそう言われたその言葉にキョトンとするもすぐまた笑みを浮かべると
「昨日ちょっとね」
「ちょっと?」
「怪盗キッドに会っちゃった」
そう答えた。そうすれば零は驚いたような表情を一瞬だけ浮かべるもすぐムスッとして
「俺以外の男に会って嬉しいのか?」
と問われてしまったのでふふと笑いながら人によるよと。
「でも零が一番」
指先に指先を絡め握りしめれば零は大きく息を吐き出すと
「奈々には敵わないな」
と呟かれてしまった。でもそれは零だってそうだ。私も零には敵わない、一番好きな人だもん。頑張ってないと負けて終わり。そう茶化すように手を離し顔の横で両手をパッと広げニッコリと微笑んだ。
零は「そうきたか」と呟き額に手をあてるともう一度息を吐き出し腕を伸ばしてくるとそのまま抱き締められてしまい、それは本の数秒であったが零はすぐ身体を離し私を見下ろしてくると
「でも、俺以外の男に会って喜んだりしているのは許せないな」
なんて随分なことを言われてしまい思わず私は苦笑い。
そうして見つめ会うと零のスマホが鳴り響き私に向かって手を振ると川原へと下りて行ってしまい、チラリと見上げてきた零に手を振り笑いながら背を向け走り出した。
警察の仕事かバーボンか。
こんな朝早くにポアロからは連絡は来ないだろうというその考えは当たっているのだが知るよしもなく。規則正しく走り始めいつもよりペースを上げて走っていけば門下生は道場で談笑しており
「ウォーミングアップは終わったの?」
そう問いかければ全員がハッとして立ち上がると素早く頭を下げ朝の練習にとりかかった。といっても私も零と話していて少し動かないでいたのだからあまり言えないが。しかし突っ込んでくるような門下生はおらずそれはもう熱心に動いてくれて私は髪をまとめあげ直すと父が姿を現し全員で整列すると朝の挨拶をし私の長くて少し日常から離れた一日を開始した。
おはようございます、師範、と。