7年ぶりの初めまして(全39話)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
パゴッという乾いた音と供に安室はテニスのサーブを打ち蘭ちゃんと園子ちゃんは拍手を送っており彼女らの横にいるコナン君は酷く戸惑った様子であり、まあ、恐らく安室が謎の組織の一員であることを知ってしまったからであろう。その安室が今なぜ我々の前にいるのかを知りたいがため。
私は安室によって結い上げられた髪に触れつつ
「蘭ちゃん、園子ちゃん、コナン君、久し振りだね」
そう声をかけた。
「西澤先生も来てくれるなんて!」
「安室さんとはどういう仲なんですか?」
なんて蘭ちゃんと園子ちゃんに声をかけられた私は曖昧に笑い返すと四人を見やり
「たまたま会って話をしたらテニスのことを聞いてね」
着いてきちゃったと笑ってみせた。そうすれば二人は正しい誤解をしコナン君は目を見開いたまま固まってしまっている。
蘭ちゃんと園子ちゃんは安室さんに話しかけており私はコナン君の前で屈んで顔を会わせると
「コナン君、どうしたの?」
と首をかしげてみせた。
「…奈々さん…」
ポツリとコナン君は呟き
「危ない!!」
そんな声に驚いて二人して顔を上げればコナン君めがけ勢いよくテニスラケットが飛んできて、それがコナン君の頭部に直撃した。そのラケットが鈍い音を立てながら跳ね上がりそのラケットが私の顔面にも直撃した。
コナン君はその場に倒れこみ私も額と左目を押さえつつよろめき、安室さんによって支えられた。
「大丈夫ですか!?」
そんな焦った声に笑って答えるも目の前は軽くチカチカと光っており、それでも私よりコナン君を見てくれ、私は大丈夫だからと伝えれば安室さんは私を気にかけつつコナン君の前に膝をついて様子を見ている。
「ごめんなさい!とりあえず私達の別荘へ!!」
そう声をかけてきたのはラケットをすっ飛ばしてくれた女性であり安室さんはコナン君を抱き上げその女性の後を追うように足を動かしていて。
しかし私も本の少しクラクラとしていれば園子ちゃんに顔を覗きこまれ
「先生、大丈夫ですか?!」
と声をかけられた。なのでと私は手をひらひらと振りながら「大丈夫、行こう」と歩きだし遠い安室さんの背中を追いかけた。
コナン君を別荘のソファに横たえ安室さんが処置している間に看護員が姿を現し、コナン君が目を覚まして診察され
「軽い脳震盪でしょう」
そう言われ蘭ちゃんが看護員と話をしている間に安室さんが私に近寄ると額を押さえていたその手をどかされまじまじと見つめられてしまった。
「どこか痛むところは?」
「大丈夫」
そう笑いかけても安室さんは私の前髪をかきあげ額を見ると小さな声で「少し腫れてるな…冷やしましょう」と。
すいません、氷はありますかと声を上げた安室さんに視線が集まり梅島真知という女性が保冷剤をタオルにくるみながら持ってきてくれた。それを額に押し付けられ安室さんはホッと一息。
「なになにぃ?安室さんと先生いい感じじゃない?」
そう園子ちゃんは笑いかけてきて、その向こうでは蘭ちゃんとコナン君が話しておりすぐラケットを飛ばしてきてしまった女性が「よければお昼でも」と誘いかけてきた。
ぐぅと呑気にも園子ちゃんのお腹が鳴り冷やし中華をご一緒する運びへとなった。
蘭ちゃんと園子ちゃん、それに安室さんが食事の準備を手伝うように動き私も参加しようと立ち上がれば安室さんにコナン君の横に座らされると安室さんは私の肩に手を置いたまま見つめてくると
「奈々さんはここでコナン君といてくださいね」
腫れか引くまでは動かないようにと言われてしまった。
そうしてコナン君とともにリビングで座っていればコナン君は私の事を見上げてきて眉間にシワを寄せながらも呟いたのは
「奈々さんなら避けられたよね?…ラケット…」
「いや、さすがにそこまで達人じゃないよ」
でもコナン君が問いかけたいのはそれではないだろう。
「何か聞きたいことは?」
私からそう動けばコナン君は渋い顔のままであり
「奈々さんは安室さんのことをどれだけ知っているの?」
と問いかけられてしまった。
随分直球だなと思いつつ保冷剤を額から離しコナン君を見下ろしたまま、さてどう話そうかと考えてしまう。
どこまでと言われれば高校時代からの恋人同士であるが、謎の組織に潜入捜査している警官さんだよ、なんて言えるはずもなく乾いた笑みを浮かべながら
「最近探偵をしてるってことを知ったよ」
それはもちろん本当のこと。
私はニコリと、コナン君は渋い顔のままだがそうして見つめ会っていても仕方無いだろう。そういえば
「この部屋暑いな…」
と呟けばコナン君はクーラーを見上げ「調子悪いのかな」と首をかしげ一瞬だけ私から意識をそらし
「おぅ坊主、姉ちゃん」
そんな第三者の声に二人して顔を向け俺の部屋に来いよと
「この部屋のクーラー調子悪いんだ」
その言葉にコナン君を促し立たせると「私はこの部屋でいいから」コナン君は上で寝てなよ。後で起こしてあげるからと答え、コナン君は渋い表情のままであるが石栗さんとやらの言葉に従って二階へと上がっていってしまった。
「ふう…危ない危ない…」
そう一人呟いた私はソファに背を預け座り直し再び保冷剤を額にあてボンヤリしていれば蘭ちゃんたちを手伝っているはずの安室さんが姿を現し私の視線まで屈むと手を伸ばされ頬に触れられた。
「痛みはありますか?」
そう問いかけてきたのは"安室さん"であり、安室さんは保冷剤をあてていた箇所を見つめると本の少しだけ息を吐き出し
「奈々なら避けられただろ?」
と、つい先程コナン君に言われた言葉と同じそれに苦笑いを浮かべ
「コナン君と同じこと言うんだね」
私そんなに達人に見えるの?バーボンの手刀を避けられなかったように。そこまで言わずに濁せば額に口付けを与えられ、そのコナン君は?と。なのでこの部屋のクーラーの調子が悪いから石栗さんの部屋に避難したよ?寝てるんじゃないかな、それで安室さん
「何か用事でも?」
「昼食の用意ができたので呼びにきたんですよ」
なら始めからそう言えよと呟きそうになりながらも黙って立ち上がり、安室さんはもう一度今度は保冷剤越しに額に唇を落とされそれはもうご機嫌にエスコートをされ苦笑いを浮かべてしまった。