雲の裏はいつも銀色
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複合商業施設の一角に、期間限定で設置されたスケートリンク。海沿いの建造物を背景に色とりどりの照明でライトアップされた氷は、俺の知るリンクとは違い、幻想的な雰囲気に包まれている。
その真ん中で、円を描くように滑る彼女。スケートは全くの初めてだと言っていたが、元々の運動神経がいいのか、少し教えてやるだけですぐにコツを掴み、俺の補助無しで自由に動き回っている。光の中で氷と戯れる姿は、まるで妖精のようだ。しばらく眺めていると、ブレードが氷を削る音と共に、妖精が俺の目の前に降り立った。
「なかなか筋がいいな」
「ふふ、GZの教え方が上手いからだよ」
彼女はそう言って、白い息を吐きながら笑った。少し開いた上着のジッパーを閉めてやっている途中、リンクサイドから「なんだリーガー連れかよー」という落胆の声が聞こえた。こいつは俺のだ。お前らみたいな奴には死んでも渡さん。
「行くぞ」
男どもに見せつけるように彼女の手を取る。リンクを半周した頃、カメラアイの警告信号が鳴った。何事かと顔を上げると、スコープが氷上の小さな穴を捉えている。彼女がこのまま進めば、確実にブレードを取られて転んでしまう。
「危ない!」
えっ、と振り返る彼女を引き寄せ、背中と膝に手を回して抱き上げる。バランスを崩してスピンする機体を立て直すべく足を踏ん張り、何とか停止した。突然の事態に驚いた様子の彼女が、瞳をぱちくりさせて俺を見上げてくる。
「氷に穴が開いていた。もう少しで転ぶところだったぞ」
「あ、ありがと……でも……」
逸らされた視線と同じ方向に目をやると、ほかの客が俺たちを凝視していた。冷え始めた記憶回路が今の体勢を理解した瞬間、機体の温度が急上昇した。
早くここから出ないと、リンクを溶かしてしまいそうだ。
その真ん中で、円を描くように滑る彼女。スケートは全くの初めてだと言っていたが、元々の運動神経がいいのか、少し教えてやるだけですぐにコツを掴み、俺の補助無しで自由に動き回っている。光の中で氷と戯れる姿は、まるで妖精のようだ。しばらく眺めていると、ブレードが氷を削る音と共に、妖精が俺の目の前に降り立った。
「なかなか筋がいいな」
「ふふ、GZの教え方が上手いからだよ」
彼女はそう言って、白い息を吐きながら笑った。少し開いた上着のジッパーを閉めてやっている途中、リンクサイドから「なんだリーガー連れかよー」という落胆の声が聞こえた。こいつは俺のだ。お前らみたいな奴には死んでも渡さん。
「行くぞ」
男どもに見せつけるように彼女の手を取る。リンクを半周した頃、カメラアイの警告信号が鳴った。何事かと顔を上げると、スコープが氷上の小さな穴を捉えている。彼女がこのまま進めば、確実にブレードを取られて転んでしまう。
「危ない!」
えっ、と振り返る彼女を引き寄せ、背中と膝に手を回して抱き上げる。バランスを崩してスピンする機体を立て直すべく足を踏ん張り、何とか停止した。突然の事態に驚いた様子の彼女が、瞳をぱちくりさせて俺を見上げてくる。
「氷に穴が開いていた。もう少しで転ぶところだったぞ」
「あ、ありがと……でも……」
逸らされた視線と同じ方向に目をやると、ほかの客が俺たちを凝視していた。冷え始めた記憶回路が今の体勢を理解した瞬間、機体の温度が急上昇した。
早くここから出ないと、リンクを溶かしてしまいそうだ。