White Day
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Valentine Dayの続きです
今日はホワイトデー
学期の終わりも近い
ホワイトデーなんちゃらで、男子のお返しを貰っただなんだと教室は騒がしい
「で、エレノア、ロクロウからお返しは貰えそうなの?」
「えっと、いや…どうでしょう…ロクロウはそもそもホワイトデーを把握しているかどうか…」
わたしの机の横でそう話しているのはベルベットとエレノアだ
『エレノア、バレンタインのときに貰ったから、これ、お返し』
「え!わざわざありがとうございます!」
エレノアにあげたのは、まあ、スーパーで並べられていたホワイトデー用のクッキー
え?別に問題ないよね?
でも、わたしには違う問題がある
今日は化学の授業がない
そもそももうこの時期通常授業がほとんどないから…
アイゼン先生に会える可能性はほとんど皆無だ
いや、お返しを期待しているわけでは…
ないと言ったら嘘になる
先生は何人にも貰ってるし…わざわざお返しなんてしないかな…
―――――――
もやもやしているうちにすぐに昼休みになった
「トシユキーっ、お昼一緒に食べましょう!」
『ああうん、これから購買行くから、先食べてて』
「あれ、トシユキが購買なんて珍しいですね」
いつもはお弁当作ってくるかコンビニで買うかだけど
出来るだけ先生に会う確率を上げたくて
校舎を歩きたい…
「はい、250円ね」
やっぱりいないか…
購買でそう思っていたとき
後ろから何人かの女子生徒の騒がしい声が聞こえた
「せんせー!おかえしはー?」
「あたしにもあたしにもーーー!」
「わかった、わかったから、ほら、さっさとどけ…………お、」
『あっ…』
振り返ったときに目が合ってしまったのは、他でもないアイゼン先生
あの日以来、ろくに会話なんて出来ていなかったから…
は、恥ずかしい…
どうやら先生はお返しにチロルチョコを渡し回っているらしい…
「ほら、ん、お前にはもうやったろ、はい、おらよ、………トシユキ、お前も手ぇ出せ」
『えっ、あ、は、はい、』
咄嗟に差し出した手にはちょこんとチロルチョコが置かれた
世話しなく、女子生徒に囲まれたアイゼン先生は早々と去っていく
ああ、やっぱり
期待した自分が馬鹿みたいだ
わたしなんて、数ある女子生徒の一人…
って、あれ?
チョコの下になんか、紙があるな…
小さな紙切れを開いてみると
『あっ…』
「放課後教室にいろ」と書いてあった
『これって…え?あれ…あは、あははは…』
これはひょっとして、
いやいや、期待するな自分……
教室に帰ったら、エレノアに「何か良いことでもありました?」と訊かれたがなんとか誤魔化した
このそわそわは、一ヶ月前のそれと、少しだけ似ている
放課後、紙のとおり教室に残っていた
だって、先生にそう言われたから
なんだけど、教室に残っているカップルがわたしを邪魔そうに見ていたから、渋々教室を後にした
教室前の廊下にいてもあの人達の邪魔かと思い、突き当たりまで行って窓を開けて外を眺めていた
先生、わたしのこと見つけられるかな
ああ…自分、なにを期待してるんだろう
相手は先生…叶うはずもないのに
叶うことを望んだわけじゃなかったのに
一ヶ月前、チョコを渡した時の先生が、あんなに素敵で、優しかったから…
馬鹿だなぁ…
先生に限って…そんなこと…
開いた窓のさんに寄り掛かりながら、組んだ腕に顔を埋めた
「…………トシユキ、風が冷たい、冷えるぞ」
『っ…、あ、』
優しく肩を叩いたのはアイゼン先生だった
「教室にお前が居なくて焦った、帰ったんじゃないかと」
『あっ、ご、ごめんなさい…カップルに邪魔物扱いされそうだったから…』
先生が、焦った?
「はっ、それは災難だったな」
先生は、とても優しい顔をしていた
「ほらよ、この間のお返しだ」
先生の手には、小さな紙袋
『え、あたし、さっきチロル貰いましたけど…』
「あ?あれは、その、あれだ、カモフラージュだ、いいから、受けとれよ」
『あ、ありがとうございます…』
受け取ってみると思ったより重くて、中身を確認してみると、瓶詰めのキャンディが入っていた
飴…
あれ、ホワイトデーのお返しで、飴の意味って…確か…
『先生…、あの、飴って…』
「っ…、その、なんだ、トシユキ、この間のあれは、義理か」
『えっ?』
「義理かどうかと訊いている」
からかってるんじゃない
先生は真剣に訊いている
『義理じゃ…ないです………こんなこと言わせないでくださいよ、恥ずかしいじゃないですか』
「…………トシユキ」
『へっ…あっ…!』
先生に突然手を握られて
『えっ、ちょ、先生、何してるんですか』
「………卒業まで待てるか」
『え…?』
「卒業まで一年、待てるか」
待てるか?
先生は一体何を言って…
頭が真っ白になった
「わけがわからないという顔をしてるな……この俺がお前の気持ちに応えようと言っているんだ、だが俺とお前は教師と生徒だ、だから、卒業まで待てるかと言っている」
先生は本当に
信じられない
信じていいのだろうか
でも、先生が嘘をついているようには見えない
顔が熱い
目頭が熱い
「っ…!お前、なに泣いてんだ」
『ご、ごめんなさい…ぜ、全然…信じられないというか…』
袖で涙を拭おうと思ったら、それより先に頬に触れたのは先生の手だった
「………悪いな、突然こんなこと言って」
涙を拭ってくれる先生の指は驚くほど優しい
先生がわたしにこう言ってくれているんだ
自分だって…
『先生、本当に?わたしでいいんですか?』
「ああ、俺なりに結構真剣に考えたんだぞ?」
『…………先生、わたし待ちます。』
「っ…!」
『わたしが待つってことは、先生も待ってくれるってことですよね?』
「お、おう、そうだな」
『先生…ほんとに、いいんですか?』
「いいんだ、いや、世間的にはあまり良くないがな」
『ていうか先生、彼女居なかったんですね…』
「なんだ、文句あるか」
『いいえ、居なくてよかったです……。先生、本当に待ってくれますか?先生のこと好きな人でもっと素敵な人、きっとたくさんいますよ?』
「安心しろ、こう見えても俺は一途だ」
『……先生って、意外と馬鹿なんですね』
「教師に向かって馬鹿とはいい度胸だ」
先生と一緒に昇降口まで降りた
先生のほうを見上げたら、先生は優しく笑って頭を撫でてくれた
『ここまででいいですよ、ほら、先生のとりまきに見られたら大変ですから』
「おう、そうか。それより、お前ちゃんと紙袋の中見たか?」
『え?瓶と……あ、紙が入ってる…えっ!』
その紙に書かれていたのは、
おそらく、電話番号とメールアドレス
『せ、先生、こ、これはだめですよ!!』
「しーっ、今時の学生はメール使わんだろ?問題ない問題ない」
『なんの弁解にもなってないですよ…』
人差し指を口に添えて笑う先生が少しかわいい
どうしよう、すごく嬉しい
「まあ、俺とお前は教師と生徒だからな?せいぜい授業の質問のメールでもするといい」
『ふふっ、はい、そうします』
「じゃあな、気をつけて帰れよ」
手を振って別れた
先生と思いが通じたらしい
夢みたいだ
少女漫画かなにかのような
ふわふわした感情
明日から平常心で過ごせるか心配だ
笑顔で手を振る可愛い生徒を見送った
あいつの卒業まで、一年
……俺は耐えられるだろうか
あんなに可愛い女を一年も手を出さずに見守るなんて
お前が気付かせてくれた、この思いを
無下になんてしないさ
待ってろよ、トシユキ
ちゃんと、迎えにいくから
今日はホワイトデー
学期の終わりも近い
ホワイトデーなんちゃらで、男子のお返しを貰っただなんだと教室は騒がしい
「で、エレノア、ロクロウからお返しは貰えそうなの?」
「えっと、いや…どうでしょう…ロクロウはそもそもホワイトデーを把握しているかどうか…」
わたしの机の横でそう話しているのはベルベットとエレノアだ
『エレノア、バレンタインのときに貰ったから、これ、お返し』
「え!わざわざありがとうございます!」
エレノアにあげたのは、まあ、スーパーで並べられていたホワイトデー用のクッキー
え?別に問題ないよね?
でも、わたしには違う問題がある
今日は化学の授業がない
そもそももうこの時期通常授業がほとんどないから…
アイゼン先生に会える可能性はほとんど皆無だ
いや、お返しを期待しているわけでは…
ないと言ったら嘘になる
先生は何人にも貰ってるし…わざわざお返しなんてしないかな…
―――――――
もやもやしているうちにすぐに昼休みになった
「トシユキーっ、お昼一緒に食べましょう!」
『ああうん、これから購買行くから、先食べてて』
「あれ、トシユキが購買なんて珍しいですね」
いつもはお弁当作ってくるかコンビニで買うかだけど
出来るだけ先生に会う確率を上げたくて
校舎を歩きたい…
「はい、250円ね」
やっぱりいないか…
購買でそう思っていたとき
後ろから何人かの女子生徒の騒がしい声が聞こえた
「せんせー!おかえしはー?」
「あたしにもあたしにもーーー!」
「わかった、わかったから、ほら、さっさとどけ…………お、」
『あっ…』
振り返ったときに目が合ってしまったのは、他でもないアイゼン先生
あの日以来、ろくに会話なんて出来ていなかったから…
は、恥ずかしい…
どうやら先生はお返しにチロルチョコを渡し回っているらしい…
「ほら、ん、お前にはもうやったろ、はい、おらよ、………トシユキ、お前も手ぇ出せ」
『えっ、あ、は、はい、』
咄嗟に差し出した手にはちょこんとチロルチョコが置かれた
世話しなく、女子生徒に囲まれたアイゼン先生は早々と去っていく
ああ、やっぱり
期待した自分が馬鹿みたいだ
わたしなんて、数ある女子生徒の一人…
って、あれ?
チョコの下になんか、紙があるな…
小さな紙切れを開いてみると
『あっ…』
「放課後教室にいろ」と書いてあった
『これって…え?あれ…あは、あははは…』
これはひょっとして、
いやいや、期待するな自分……
教室に帰ったら、エレノアに「何か良いことでもありました?」と訊かれたがなんとか誤魔化した
このそわそわは、一ヶ月前のそれと、少しだけ似ている
放課後、紙のとおり教室に残っていた
だって、先生にそう言われたから
なんだけど、教室に残っているカップルがわたしを邪魔そうに見ていたから、渋々教室を後にした
教室前の廊下にいてもあの人達の邪魔かと思い、突き当たりまで行って窓を開けて外を眺めていた
先生、わたしのこと見つけられるかな
ああ…自分、なにを期待してるんだろう
相手は先生…叶うはずもないのに
叶うことを望んだわけじゃなかったのに
一ヶ月前、チョコを渡した時の先生が、あんなに素敵で、優しかったから…
馬鹿だなぁ…
先生に限って…そんなこと…
開いた窓のさんに寄り掛かりながら、組んだ腕に顔を埋めた
「…………トシユキ、風が冷たい、冷えるぞ」
『っ…、あ、』
優しく肩を叩いたのはアイゼン先生だった
「教室にお前が居なくて焦った、帰ったんじゃないかと」
『あっ、ご、ごめんなさい…カップルに邪魔物扱いされそうだったから…』
先生が、焦った?
「はっ、それは災難だったな」
先生は、とても優しい顔をしていた
「ほらよ、この間のお返しだ」
先生の手には、小さな紙袋
『え、あたし、さっきチロル貰いましたけど…』
「あ?あれは、その、あれだ、カモフラージュだ、いいから、受けとれよ」
『あ、ありがとうございます…』
受け取ってみると思ったより重くて、中身を確認してみると、瓶詰めのキャンディが入っていた
飴…
あれ、ホワイトデーのお返しで、飴の意味って…確か…
『先生…、あの、飴って…』
「っ…、その、なんだ、トシユキ、この間のあれは、義理か」
『えっ?』
「義理かどうかと訊いている」
からかってるんじゃない
先生は真剣に訊いている
『義理じゃ…ないです………こんなこと言わせないでくださいよ、恥ずかしいじゃないですか』
「…………トシユキ」
『へっ…あっ…!』
先生に突然手を握られて
『えっ、ちょ、先生、何してるんですか』
「………卒業まで待てるか」
『え…?』
「卒業まで一年、待てるか」
待てるか?
先生は一体何を言って…
頭が真っ白になった
「わけがわからないという顔をしてるな……この俺がお前の気持ちに応えようと言っているんだ、だが俺とお前は教師と生徒だ、だから、卒業まで待てるかと言っている」
先生は本当に
信じられない
信じていいのだろうか
でも、先生が嘘をついているようには見えない
顔が熱い
目頭が熱い
「っ…!お前、なに泣いてんだ」
『ご、ごめんなさい…ぜ、全然…信じられないというか…』
袖で涙を拭おうと思ったら、それより先に頬に触れたのは先生の手だった
「………悪いな、突然こんなこと言って」
涙を拭ってくれる先生の指は驚くほど優しい
先生がわたしにこう言ってくれているんだ
自分だって…
『先生、本当に?わたしでいいんですか?』
「ああ、俺なりに結構真剣に考えたんだぞ?」
『…………先生、わたし待ちます。』
「っ…!」
『わたしが待つってことは、先生も待ってくれるってことですよね?』
「お、おう、そうだな」
『先生…ほんとに、いいんですか?』
「いいんだ、いや、世間的にはあまり良くないがな」
『ていうか先生、彼女居なかったんですね…』
「なんだ、文句あるか」
『いいえ、居なくてよかったです……。先生、本当に待ってくれますか?先生のこと好きな人でもっと素敵な人、きっとたくさんいますよ?』
「安心しろ、こう見えても俺は一途だ」
『……先生って、意外と馬鹿なんですね』
「教師に向かって馬鹿とはいい度胸だ」
先生と一緒に昇降口まで降りた
先生のほうを見上げたら、先生は優しく笑って頭を撫でてくれた
『ここまででいいですよ、ほら、先生のとりまきに見られたら大変ですから』
「おう、そうか。それより、お前ちゃんと紙袋の中見たか?」
『え?瓶と……あ、紙が入ってる…えっ!』
その紙に書かれていたのは、
おそらく、電話番号とメールアドレス
『せ、先生、こ、これはだめですよ!!』
「しーっ、今時の学生はメール使わんだろ?問題ない問題ない」
『なんの弁解にもなってないですよ…』
人差し指を口に添えて笑う先生が少しかわいい
どうしよう、すごく嬉しい
「まあ、俺とお前は教師と生徒だからな?せいぜい授業の質問のメールでもするといい」
『ふふっ、はい、そうします』
「じゃあな、気をつけて帰れよ」
手を振って別れた
先生と思いが通じたらしい
夢みたいだ
少女漫画かなにかのような
ふわふわした感情
明日から平常心で過ごせるか心配だ
笑顔で手を振る可愛い生徒を見送った
あいつの卒業まで、一年
……俺は耐えられるだろうか
あんなに可愛い女を一年も手を出さずに見守るなんて
お前が気付かせてくれた、この思いを
無下になんてしないさ
待ってろよ、トシユキ
ちゃんと、迎えにいくから