勘違い
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最近、彼と話す機会が少なくなった
彼が、ベルベット一行と旅をするようになってからだ
彼と私が男女関係にあるということはアイフリード海賊団には承知の上だが、
ベルベットたちには知るよしもない
彼は、船長のために、ベルベットたちと一緒にいる
船長が行方不明になってから、彼はあまり笑わなくなった
私の慰めなんて、何の力にもならなかった
わたしと船長では、一緒に過ごした時間が違いすぎたんだ
でも、彼は
ベルベットたちと旅をするようになって
よく、笑うようになった
『あーあ、そろそろ潮時なのかなあ…』
ゼクソン港で停泊中の船のうえで、トシユキはぽつりとつぶやく
「ん?どうしたんだ?」
ベンウィックが首をかしげながら話し掛けてきた
『アイゼンのこと、そろそろ引き際かなあ、なんて
最近は船に帰ってくるときとか、ずっとベルベットと話してるし…
あたし、もう、違うのかなあ、って…』
「何言ってるんだよ…副長はずっとトシユキを大事に思っ………っておい!泣くなよ…」
ベンウィックから目線を海に移して
涙を乱暴に拭いながらトシユキは話す
『だって、今はわたしよりもベルベットたちと居る時間の方が長いし、信頼からそれが愛に変わることだって…あるでしょ?
あたしは戦闘は基礎的なことしかできないけど、ベルベットは強いから背中を預けることだって出来るし、
なにより、ベルベットのほうがスタイル良いし…』
「トシユキ…お前、つまりベルベットに嫉……」
『ベンウィック!うるさい!ちょ、っとしゃべりすぎた…誰にも言わないでよ、今の話』
「お、おう…」
一方その頃、ベルベット一行はローグレスの宿屋で羽を休めていた
「で?トシユキから冷たくされてる気がする、って?」
「ロクロウ、でかい声出すんじゃねえ、隣に聞こえるだろうが、この手の話はお前にしかしてないんだぞ」
ライフィセットが既にすやすやと寝ている中、アイゼンとロクロウは心水を酌み交わしていた
「俺たちの旅のせいで彼女との距離が遠くなったと言われても困るぞ?」
「そんなことを言うつもりはない、同行しているのは俺の意思だからな
しかしなんだ、どうも嫌われてるんじゃないかと考えたりしてな…」
「トシユキに限ってそんなことはないと思うけどなあ…
次船に帰ったときに抱いてやればいいんじゃないか?女なんて単純だろ?」
「いや、それは、良くねえ…。あいつなら絶対、『あたしはただの捌け口なのね』とかネガティブなことを考えるに決まってる…」
アイゼンはそう呟きながら頭を抱えた
ベルベット一行が次の目的地に行くというので、アイフリード海賊団とベルベット一行はゼクソン港で合流した
『……おかえり』
「おう」
そんな素っ気ないやりとりだけして
「どうした、トシユキ」
『なんにもないよ』
わたしのまえでは難しい顔ばっかり
航路の話をしてくると言って何処かへ向かうアイゼンの背中を見て
別れよう、なんて
この狭い船の上で、そんな言葉が意味することは
海に背を向けて空を仰ぎながら
そんなことばかり考える
別れよう、なんて言葉で、わたしの気持ちが消えるわけではないけど
もし、彼のなかの枷が取れるなら…
少し離れたところにいるベルベットを一瞥する
ベルベットのことが、嫌いなわけじゃない
彼女は信頼出来る
だからこそ、不安になる
好きだよ、好きなんだ
だからこそ、貴方がわたしを好きじゃないことが、こんなにも…
「トシユキ!ベルベット!危ない!」
『ッ!!?』
突然ライフィセットの叫び声が聞こえて
横を見れば、ベルベットのもとに飛び掛かろうと海から飛び出した業魔が見えて
…わたしの真後ろにも同様に、業魔が目の前に迫っていた
『(間に合わないっ…)』
脚に付けていた短刀を取り出す暇もなく
わたしはただ、両の腕で頭を守る姿勢をとった
『(あれ…?)』
覚悟していた衝撃はなく
あるのは先程は無かった目の前の影と、頭に感じる重み
「トシユキ、大丈夫か、怪我はないか」
『えっ、あっ、う、うん…』
顔を上げれば目の前には金色の髪をした、碧い目の愛しい彼がいて
どうやら頭を抱えて抱き止めて、業魔から守ってくれたらしい
「アイゼン、すごいなあ、拳一発で仕留めちまうとは」
少し離れたところから聞こえたロクロウの声の方を見れば、
ベルベットの背後から襲ってきた業魔を仕留めたらしい
「ちょっとロクロウ、別にあんたの助けがなくたってあたしは大丈夫だったわよ」
「そんなこと言うなよ、お前だって気付くのが遅れてただろ?これも恩返しさ」
不満そうなベルベットに、ロクロウは笑いかけた
『アイゼン、どうしてベルベットじゃなくてあたしを助けたの?』
「あ?何言ってる」
『だって……』
わたしじゃなくて、ベルベットのほうが好きなんでしょ
なんて言葉を喉の奥で圧し殺す
ここには、ベルベットも、ロクロウも、ライフィセットもいる
ここで言ったら、アイゼンの迷惑になる
「だって、なんだ」
『ううん、なんでもない…』
「……トシユキ」
『なに、って、ちょっ…』
抱き止めていただけの彼の腕がきつくしまって、しっかりと抱き締められる
『えっ、ちょっ、アイゼンっ!なに、してんの』
「うるせえ、ちょっと黙ってじっとしてろ」
腕を振り払おうとしても彼の力には及ばなくて、身動きがとれない
ロクロウは、ベルベットとライフィセットを促して、船室へ入っていった
一体どういうつもりなの
二股かける男は嫌われるわよ、なんて
ベルベットの前でこんなことしていいの?とか
こんなことまでしてわたしを引き留めておきたい理由でもあるの?とか
最初に考えていたそんな彼への冷酷な感情が
抱き締められることで感じられる彼の熱で解かされるようで
思えば久しぶりに背中まで回される彼の腕が嬉しくて
現金だなあ、自分なんて思いながら
無意識に自分の腕も、彼の背中に回した
「……まだ、俺は嫌われていないようだな」
『…?』
「お前、最近妙に冷たかっただろ…」
『え?あたしの台詞なんだけど…
アイゼン、あたしのことなんてもう好きじゃ…』
「おい、馬鹿なこと言うんじゃねえ、そうか、大体読めたぞ、
お前俺がベルベットのこと好きなんじゃないかと思ってるだろ」
『えっ、えええっ、いや、その、えっと…ち、ちがう、の?』
「はあ…つくづく馬鹿な女だ…」
『何度も馬鹿、って言わないでよ…』
「いいや、馬鹿だ。俺は、ちゃんとお前が好きだし、大切だ、だから、業魔に襲われてるお前を見て、真っ先に身体が動いた」
わたしの肩を掴みながら真っ直ぐに語りかける彼の目に嘘は見えなくて
どうしてわたしが思ってたこと、わかったのかな
でもやっぱり、ずっと抱えてた不安が消えることはなくて
『ほんとに?あたし、二番目の女、とかじゃない?あ、でも、アイゼンの女なら二番目でもいいかな、いや、やっぱり悔しいかな…』
「……… ちょっと、こっち来い」
『ッ…!?』
手を引かれ船の隅の陰に来たかと思うと
大きな手で顎を掴まれ
顔を傾けた彼の唇はわたしのそれに重なった
『んっ…』
包むような優しいキスから、彼の舌が滑り込むように侵入してくる
弱いところばかり攻めてくる彼のキスの刺激に耐えきれなくて足がよろける
彼と離れそうになって、思わず腕にしがみついたら
彼はやさしく背中を支えてくれた
唇が離れる頃には、わたしの頭も心のなかも、彼で満たされていた
ああ…あなたはやっぱりわたしの
「これでも信用できないか?」
わたしは無言で首を横に振る
「いい子だ」
そう言って、彼はまたわたしを抱き締める
「不安にさせたことは、悪かった。反省する。まあ、勘違いしたお前も面白かったけどな」
『面白がらないで…あたしにとっては人生最大の一大事だったんだから…』
「ふっ、大袈裟なやつだ…
逆にうっとおしくていやになるくらい、ちゃんと愛してやるよ」
『そんなこと、思わないもん。』
だって、本当に貴方が好きだから
貴方がわたしを好きなことが
こんなにも嬉しい
なんだか、久しぶりの感情
『アイゼン、1つだけ、お願いがあるんだけど』
「なんだ?」
『わたしの前でも、もうちょっと、笑って?』
「……ああ、わかった
そういうことか、すまんな、ついベルベットたちの前では気を張っててな、
お前の前では疲れた姿を見せてるのかもしれん」
彼は静かに口角を上げた
『ええ…?それじゃあほんとにあたしが勘違いしてただけじゃない…』
「いや、すまん」
『そういうことなら別にいいよ…あ、でも、また勘違いするかもしれないから、弱音ならちゃんと話してよ』
「ああ、そうしよう」
アイゼンはまたわたしを抱き締めた
「……好きだ」
『……うん、わたしも』
「ねえロクロウ、あたしなんかよりもトシユキを守ったほうがよかったんじゃないの?」
「んー?まあ、トシユキはアイゼンが助けるだろうと思ったからなあ。邪魔しても悪いしな」
「え、ロクロウ、アイゼンとトシユキって、そういう関係なの…??」
「おっ、ライフィセット、やっぱりそういうことには興味あるのか??」
「えっ、いやえっと…」
「さて、俺の愛を証明するために、今晩はベッドまで付き合ってもらうぞ」
『えっ、ちょっ、待ってよ、いいよべつに、もう十分わかったから…』
「ん、なぜ断る、まさかお前、俺のこと好きじゃないのか?」
『ちがっ、なんでそうなるの…』
「俺はお前しか愛さないし、お前も俺しか愛さない、だろう?それを身体で証明してやるよ」
『意味わかんないし、強引だなあ…アイゼンって、ほんと馬鹿だよね』
「トシユキもな。馬鹿はお互い様だ」
彼が、ベルベット一行と旅をするようになってからだ
彼と私が男女関係にあるということはアイフリード海賊団には承知の上だが、
ベルベットたちには知るよしもない
彼は、船長のために、ベルベットたちと一緒にいる
船長が行方不明になってから、彼はあまり笑わなくなった
私の慰めなんて、何の力にもならなかった
わたしと船長では、一緒に過ごした時間が違いすぎたんだ
でも、彼は
ベルベットたちと旅をするようになって
よく、笑うようになった
『あーあ、そろそろ潮時なのかなあ…』
ゼクソン港で停泊中の船のうえで、トシユキはぽつりとつぶやく
「ん?どうしたんだ?」
ベンウィックが首をかしげながら話し掛けてきた
『アイゼンのこと、そろそろ引き際かなあ、なんて
最近は船に帰ってくるときとか、ずっとベルベットと話してるし…
あたし、もう、違うのかなあ、って…』
「何言ってるんだよ…副長はずっとトシユキを大事に思っ………っておい!泣くなよ…」
ベンウィックから目線を海に移して
涙を乱暴に拭いながらトシユキは話す
『だって、今はわたしよりもベルベットたちと居る時間の方が長いし、信頼からそれが愛に変わることだって…あるでしょ?
あたしは戦闘は基礎的なことしかできないけど、ベルベットは強いから背中を預けることだって出来るし、
なにより、ベルベットのほうがスタイル良いし…』
「トシユキ…お前、つまりベルベットに嫉……」
『ベンウィック!うるさい!ちょ、っとしゃべりすぎた…誰にも言わないでよ、今の話』
「お、おう…」
一方その頃、ベルベット一行はローグレスの宿屋で羽を休めていた
「で?トシユキから冷たくされてる気がする、って?」
「ロクロウ、でかい声出すんじゃねえ、隣に聞こえるだろうが、この手の話はお前にしかしてないんだぞ」
ライフィセットが既にすやすやと寝ている中、アイゼンとロクロウは心水を酌み交わしていた
「俺たちの旅のせいで彼女との距離が遠くなったと言われても困るぞ?」
「そんなことを言うつもりはない、同行しているのは俺の意思だからな
しかしなんだ、どうも嫌われてるんじゃないかと考えたりしてな…」
「トシユキに限ってそんなことはないと思うけどなあ…
次船に帰ったときに抱いてやればいいんじゃないか?女なんて単純だろ?」
「いや、それは、良くねえ…。あいつなら絶対、『あたしはただの捌け口なのね』とかネガティブなことを考えるに決まってる…」
アイゼンはそう呟きながら頭を抱えた
ベルベット一行が次の目的地に行くというので、アイフリード海賊団とベルベット一行はゼクソン港で合流した
『……おかえり』
「おう」
そんな素っ気ないやりとりだけして
「どうした、トシユキ」
『なんにもないよ』
わたしのまえでは難しい顔ばっかり
航路の話をしてくると言って何処かへ向かうアイゼンの背中を見て
別れよう、なんて
この狭い船の上で、そんな言葉が意味することは
海に背を向けて空を仰ぎながら
そんなことばかり考える
別れよう、なんて言葉で、わたしの気持ちが消えるわけではないけど
もし、彼のなかの枷が取れるなら…
少し離れたところにいるベルベットを一瞥する
ベルベットのことが、嫌いなわけじゃない
彼女は信頼出来る
だからこそ、不安になる
好きだよ、好きなんだ
だからこそ、貴方がわたしを好きじゃないことが、こんなにも…
「トシユキ!ベルベット!危ない!」
『ッ!!?』
突然ライフィセットの叫び声が聞こえて
横を見れば、ベルベットのもとに飛び掛かろうと海から飛び出した業魔が見えて
…わたしの真後ろにも同様に、業魔が目の前に迫っていた
『(間に合わないっ…)』
脚に付けていた短刀を取り出す暇もなく
わたしはただ、両の腕で頭を守る姿勢をとった
『(あれ…?)』
覚悟していた衝撃はなく
あるのは先程は無かった目の前の影と、頭に感じる重み
「トシユキ、大丈夫か、怪我はないか」
『えっ、あっ、う、うん…』
顔を上げれば目の前には金色の髪をした、碧い目の愛しい彼がいて
どうやら頭を抱えて抱き止めて、業魔から守ってくれたらしい
「アイゼン、すごいなあ、拳一発で仕留めちまうとは」
少し離れたところから聞こえたロクロウの声の方を見れば、
ベルベットの背後から襲ってきた業魔を仕留めたらしい
「ちょっとロクロウ、別にあんたの助けがなくたってあたしは大丈夫だったわよ」
「そんなこと言うなよ、お前だって気付くのが遅れてただろ?これも恩返しさ」
不満そうなベルベットに、ロクロウは笑いかけた
『アイゼン、どうしてベルベットじゃなくてあたしを助けたの?』
「あ?何言ってる」
『だって……』
わたしじゃなくて、ベルベットのほうが好きなんでしょ
なんて言葉を喉の奥で圧し殺す
ここには、ベルベットも、ロクロウも、ライフィセットもいる
ここで言ったら、アイゼンの迷惑になる
「だって、なんだ」
『ううん、なんでもない…』
「……トシユキ」
『なに、って、ちょっ…』
抱き止めていただけの彼の腕がきつくしまって、しっかりと抱き締められる
『えっ、ちょっ、アイゼンっ!なに、してんの』
「うるせえ、ちょっと黙ってじっとしてろ」
腕を振り払おうとしても彼の力には及ばなくて、身動きがとれない
ロクロウは、ベルベットとライフィセットを促して、船室へ入っていった
一体どういうつもりなの
二股かける男は嫌われるわよ、なんて
ベルベットの前でこんなことしていいの?とか
こんなことまでしてわたしを引き留めておきたい理由でもあるの?とか
最初に考えていたそんな彼への冷酷な感情が
抱き締められることで感じられる彼の熱で解かされるようで
思えば久しぶりに背中まで回される彼の腕が嬉しくて
現金だなあ、自分なんて思いながら
無意識に自分の腕も、彼の背中に回した
「……まだ、俺は嫌われていないようだな」
『…?』
「お前、最近妙に冷たかっただろ…」
『え?あたしの台詞なんだけど…
アイゼン、あたしのことなんてもう好きじゃ…』
「おい、馬鹿なこと言うんじゃねえ、そうか、大体読めたぞ、
お前俺がベルベットのこと好きなんじゃないかと思ってるだろ」
『えっ、えええっ、いや、その、えっと…ち、ちがう、の?』
「はあ…つくづく馬鹿な女だ…」
『何度も馬鹿、って言わないでよ…』
「いいや、馬鹿だ。俺は、ちゃんとお前が好きだし、大切だ、だから、業魔に襲われてるお前を見て、真っ先に身体が動いた」
わたしの肩を掴みながら真っ直ぐに語りかける彼の目に嘘は見えなくて
どうしてわたしが思ってたこと、わかったのかな
でもやっぱり、ずっと抱えてた不安が消えることはなくて
『ほんとに?あたし、二番目の女、とかじゃない?あ、でも、アイゼンの女なら二番目でもいいかな、いや、やっぱり悔しいかな…』
「……… ちょっと、こっち来い」
『ッ…!?』
手を引かれ船の隅の陰に来たかと思うと
大きな手で顎を掴まれ
顔を傾けた彼の唇はわたしのそれに重なった
『んっ…』
包むような優しいキスから、彼の舌が滑り込むように侵入してくる
弱いところばかり攻めてくる彼のキスの刺激に耐えきれなくて足がよろける
彼と離れそうになって、思わず腕にしがみついたら
彼はやさしく背中を支えてくれた
唇が離れる頃には、わたしの頭も心のなかも、彼で満たされていた
ああ…あなたはやっぱりわたしの
「これでも信用できないか?」
わたしは無言で首を横に振る
「いい子だ」
そう言って、彼はまたわたしを抱き締める
「不安にさせたことは、悪かった。反省する。まあ、勘違いしたお前も面白かったけどな」
『面白がらないで…あたしにとっては人生最大の一大事だったんだから…』
「ふっ、大袈裟なやつだ…
逆にうっとおしくていやになるくらい、ちゃんと愛してやるよ」
『そんなこと、思わないもん。』
だって、本当に貴方が好きだから
貴方がわたしを好きなことが
こんなにも嬉しい
なんだか、久しぶりの感情
『アイゼン、1つだけ、お願いがあるんだけど』
「なんだ?」
『わたしの前でも、もうちょっと、笑って?』
「……ああ、わかった
そういうことか、すまんな、ついベルベットたちの前では気を張っててな、
お前の前では疲れた姿を見せてるのかもしれん」
彼は静かに口角を上げた
『ええ…?それじゃあほんとにあたしが勘違いしてただけじゃない…』
「いや、すまん」
『そういうことなら別にいいよ…あ、でも、また勘違いするかもしれないから、弱音ならちゃんと話してよ』
「ああ、そうしよう」
アイゼンはまたわたしを抱き締めた
「……好きだ」
『……うん、わたしも』
「ねえロクロウ、あたしなんかよりもトシユキを守ったほうがよかったんじゃないの?」
「んー?まあ、トシユキはアイゼンが助けるだろうと思ったからなあ。邪魔しても悪いしな」
「え、ロクロウ、アイゼンとトシユキって、そういう関係なの…??」
「おっ、ライフィセット、やっぱりそういうことには興味あるのか??」
「えっ、いやえっと…」
「さて、俺の愛を証明するために、今晩はベッドまで付き合ってもらうぞ」
『えっ、ちょっ、待ってよ、いいよべつに、もう十分わかったから…』
「ん、なぜ断る、まさかお前、俺のこと好きじゃないのか?」
『ちがっ、なんでそうなるの…』
「俺はお前しか愛さないし、お前も俺しか愛さない、だろう?それを身体で証明してやるよ」
『意味わかんないし、強引だなあ…アイゼンって、ほんと馬鹿だよね』
「トシユキもな。馬鹿はお互い様だ」