雪と海と貴方と私
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ヘラヴィーサにて宿をとるベルベット一行
今日は雪が酷く、水温が極端に下がって凍っているせいで、船を出すのは難しいという
「とりあえず今日は宿をとるわ、」
ベルベットがそう言ったので、慣れない雪を窓から見つめつつ、宿屋の一階の暖炉の近くでぬくぬくしていた
コツコツと階段から靴の音がして、そちらをみたら、アイゼンが下に降りてきているところだった
『あ、アイゼン、手紙は書き終わったの?』
「うむ、まあな」
何故かアイゼンはどこにも座らず、トシユキの横に立った
『どうしたの?』
「トシユキ、散歩にいこう」
唐突なその言葉に迷う
この極寒に散歩とは狂っているのかとトシユキは思った
『ええ、やだよ、寒いし』
「ならば言い方を変えよう、トシユキ、デートに行こう」
そう言いながらアイゼンは手を差し出した
どこまでもトシユキのつぼを押さえているアイゼン
『そう言われると断れないじゃん…』
トシユキは渋渋アイゼンの手を取った
宿屋からコートとマフラーを借りて、二人で外へ出た
エレノアには「正気ですか!?」と言われたが、ロクロウには「熱々の二人には問題ないよなあ」なんてからかわれた
『さむ…』
「寒いばかり言っていると余計寒くなるぞ、ほら、景色を見てみろ、綺麗じゃないか」
確かに木々や家屋に積もった雪が作り出す白い景色は、ある意味別世界のような雰囲気がある
こんなに空気が澄んでいるのは、汚れたものを雪が遮断しているからだろうか
海が凍っていて仕事にならないからか、全く人が歩いていない
『だれもいないね』
「そうだな」
まるで世界に二人だけみたい、なんて思ったりして
徐にアイゼンはトシユキの顔を除き混む
きょとんとしたトシユキに微笑みかけ、
「誰もいないし、いいよな」
と言って、道の真ん中で、寒さで動きの鈍くなったトシユキにそっと口付けた
『っ…つめたい』
少しだけ不満そうなトシユキが、アイゼンには可愛らしく見えた
『ねえ、折角なら海の方まで行こうよ』
「多分港はもっと寒いぞ?」
『いいよ、アイゼンと一緒なら』
宿屋を出たときは嫌そうな顔をしてたくせに、なんてアイゼンは思いながら
はぁはぁと息をはいて温めているトシユキの片手をとって、自分のポケットにねじこんだ
『これ、恋人同士がよくやるやつだね』
「俺達も恋人同士だろう」
『それもそうだ』
たまに心臓に悪い冗談をいうトシユキ
機嫌が良い証拠だ
海に近づくにつれていっそう白くなる息
ポケットのなかで重なるお互いの手だけが温かい
『手、温かいね』
「ああ」
握っていただけの手から、そっと指を絡めた
港まで着くと、強い風が二人を襲った
『ひえええええ、寒い寒いよ』
「だから言っただろ、寒いって。ほら、もっとこっちこい」
アイゼンに促されてトシユキは肩を寄せる
触れた場所からじわじわと熱を帯びる
『ずっとこうしてればよかった』
トシユキはアイゼンに密着しながら、彼を見上げてそう言った
その姿が堪らなく愛しくて、アイゼンはまたトシユキに口付ける
『……さっきよりあったかい』
「……そうか」
『アイゼン、鼻赤いよ』
「うるせえ、お前も赤い」
ははは、なんて二人で笑いあった
凍った海にはなにもない
船は凍らないように陸に上げられている
『ほんとに誰もいないね』
「ああ、俺たちだけの海だな」
少しだけ手を握るアイゼンの力が強くなる
『ねえ、アイゼン、手袋はずして?あたし繋いでる方の手、汗ばんできちゃった、汚しちゃう』
「そんなこと言っても、俺の手もそうだぞ、気持ち悪くないか」
『気持ち悪くないよ』
アイゼンはそうか、と言って、
ポケットから手を出して手袋を外し、素手でトシユキの手をまた取った
またアイゼンのポケットに入れられた二人の手
『うん、こっちのほうがいい』
「最初からこうしてれば良かったな」
『ねえアイゼン?』
トシユキは海を眺めたままそう呼び掛けた
「なんだ?」
『海と私、どっちの方がすき?』
意地悪そうにトシユキがアイゼンを見上げる
「お前はまたなんて質問を…」
『いいでしょ、別に』
難しい質問をされ頭を抱えるアイゼン
なんと答えればいいものか
トシユキは悩むアイゼンを楽しそうに見ている
「トシユキ、俺はな」
『うん』
「海が好きだ。大好きだ。そして、海が好きな俺を好いてくれるトシユキを何よりも誰よりも愛しているんだ」
言い終わってアイゼンはトシユキと目を合わせようとしたが、すぐに逸らされた
『答えになってないよ』
「これが答えさ」
少しだけ恥ずかしそうにうつ向くトシユキの頭に積もった雪を空いた片手で払った
「お前は?」
『あ、あたしは、別に海は特別好きじゃないよ…嫌いじゃないけど。でも、アイゼンと会わせてくれたってことに関しては…感謝してるんだ。』
「…」
『あたしはアイゼンが一番好き』
死にそうなくらい恥ずかしくてトシユキは手で顔を覆う
「なんだよ、愛してはくれないのか?」
意地悪な声色で、アイゼンはトシユキの顔を覆う手をどかした
『あ、あい、してるよ、馬鹿』
「良い子だ」
質問をしたときから形勢が逆転しているのにトシユキは釈然としない
『……海に負けないように頑張るよ』
「ん?何か言ったか?」
『ううん、なんにも』
海に嫉妬するなんて馬鹿みたい
でも仕方ないのだ
彼は、たまに何もかも忘れて海を眺めている時がある
きっとその視界にわたしは必要ないのだろうと思ってしまうのだ
「俺は、トシユキと見る海が好きだ」
核心を突くようなその台詞が
彼の声が
どうしようもなく嬉しくて
海から吹く冷たい風も
降りやまない雪も
今、彼と過ごしている時間が大切なのだと感じさせた
『っくしゅん』
「ふっ、これ以上歩くのは良くないな、人間のお前は風邪をひくかもしれん。宿に帰ろう」
『うん』
二人はもう一度だけキスをして
手を握り直し、寄り添いながら宿へ向かった
今日は雪が酷く、水温が極端に下がって凍っているせいで、船を出すのは難しいという
「とりあえず今日は宿をとるわ、」
ベルベットがそう言ったので、慣れない雪を窓から見つめつつ、宿屋の一階の暖炉の近くでぬくぬくしていた
コツコツと階段から靴の音がして、そちらをみたら、アイゼンが下に降りてきているところだった
『あ、アイゼン、手紙は書き終わったの?』
「うむ、まあな」
何故かアイゼンはどこにも座らず、トシユキの横に立った
『どうしたの?』
「トシユキ、散歩にいこう」
唐突なその言葉に迷う
この極寒に散歩とは狂っているのかとトシユキは思った
『ええ、やだよ、寒いし』
「ならば言い方を変えよう、トシユキ、デートに行こう」
そう言いながらアイゼンは手を差し出した
どこまでもトシユキのつぼを押さえているアイゼン
『そう言われると断れないじゃん…』
トシユキは渋渋アイゼンの手を取った
宿屋からコートとマフラーを借りて、二人で外へ出た
エレノアには「正気ですか!?」と言われたが、ロクロウには「熱々の二人には問題ないよなあ」なんてからかわれた
『さむ…』
「寒いばかり言っていると余計寒くなるぞ、ほら、景色を見てみろ、綺麗じゃないか」
確かに木々や家屋に積もった雪が作り出す白い景色は、ある意味別世界のような雰囲気がある
こんなに空気が澄んでいるのは、汚れたものを雪が遮断しているからだろうか
海が凍っていて仕事にならないからか、全く人が歩いていない
『だれもいないね』
「そうだな」
まるで世界に二人だけみたい、なんて思ったりして
徐にアイゼンはトシユキの顔を除き混む
きょとんとしたトシユキに微笑みかけ、
「誰もいないし、いいよな」
と言って、道の真ん中で、寒さで動きの鈍くなったトシユキにそっと口付けた
『っ…つめたい』
少しだけ不満そうなトシユキが、アイゼンには可愛らしく見えた
『ねえ、折角なら海の方まで行こうよ』
「多分港はもっと寒いぞ?」
『いいよ、アイゼンと一緒なら』
宿屋を出たときは嫌そうな顔をしてたくせに、なんてアイゼンは思いながら
はぁはぁと息をはいて温めているトシユキの片手をとって、自分のポケットにねじこんだ
『これ、恋人同士がよくやるやつだね』
「俺達も恋人同士だろう」
『それもそうだ』
たまに心臓に悪い冗談をいうトシユキ
機嫌が良い証拠だ
海に近づくにつれていっそう白くなる息
ポケットのなかで重なるお互いの手だけが温かい
『手、温かいね』
「ああ」
握っていただけの手から、そっと指を絡めた
港まで着くと、強い風が二人を襲った
『ひえええええ、寒い寒いよ』
「だから言っただろ、寒いって。ほら、もっとこっちこい」
アイゼンに促されてトシユキは肩を寄せる
触れた場所からじわじわと熱を帯びる
『ずっとこうしてればよかった』
トシユキはアイゼンに密着しながら、彼を見上げてそう言った
その姿が堪らなく愛しくて、アイゼンはまたトシユキに口付ける
『……さっきよりあったかい』
「……そうか」
『アイゼン、鼻赤いよ』
「うるせえ、お前も赤い」
ははは、なんて二人で笑いあった
凍った海にはなにもない
船は凍らないように陸に上げられている
『ほんとに誰もいないね』
「ああ、俺たちだけの海だな」
少しだけ手を握るアイゼンの力が強くなる
『ねえ、アイゼン、手袋はずして?あたし繋いでる方の手、汗ばんできちゃった、汚しちゃう』
「そんなこと言っても、俺の手もそうだぞ、気持ち悪くないか」
『気持ち悪くないよ』
アイゼンはそうか、と言って、
ポケットから手を出して手袋を外し、素手でトシユキの手をまた取った
またアイゼンのポケットに入れられた二人の手
『うん、こっちのほうがいい』
「最初からこうしてれば良かったな」
『ねえアイゼン?』
トシユキは海を眺めたままそう呼び掛けた
「なんだ?」
『海と私、どっちの方がすき?』
意地悪そうにトシユキがアイゼンを見上げる
「お前はまたなんて質問を…」
『いいでしょ、別に』
難しい質問をされ頭を抱えるアイゼン
なんと答えればいいものか
トシユキは悩むアイゼンを楽しそうに見ている
「トシユキ、俺はな」
『うん』
「海が好きだ。大好きだ。そして、海が好きな俺を好いてくれるトシユキを何よりも誰よりも愛しているんだ」
言い終わってアイゼンはトシユキと目を合わせようとしたが、すぐに逸らされた
『答えになってないよ』
「これが答えさ」
少しだけ恥ずかしそうにうつ向くトシユキの頭に積もった雪を空いた片手で払った
「お前は?」
『あ、あたしは、別に海は特別好きじゃないよ…嫌いじゃないけど。でも、アイゼンと会わせてくれたってことに関しては…感謝してるんだ。』
「…」
『あたしはアイゼンが一番好き』
死にそうなくらい恥ずかしくてトシユキは手で顔を覆う
「なんだよ、愛してはくれないのか?」
意地悪な声色で、アイゼンはトシユキの顔を覆う手をどかした
『あ、あい、してるよ、馬鹿』
「良い子だ」
質問をしたときから形勢が逆転しているのにトシユキは釈然としない
『……海に負けないように頑張るよ』
「ん?何か言ったか?」
『ううん、なんにも』
海に嫉妬するなんて馬鹿みたい
でも仕方ないのだ
彼は、たまに何もかも忘れて海を眺めている時がある
きっとその視界にわたしは必要ないのだろうと思ってしまうのだ
「俺は、トシユキと見る海が好きだ」
核心を突くようなその台詞が
彼の声が
どうしようもなく嬉しくて
海から吹く冷たい風も
降りやまない雪も
今、彼と過ごしている時間が大切なのだと感じさせた
『っくしゅん』
「ふっ、これ以上歩くのは良くないな、人間のお前は風邪をひくかもしれん。宿に帰ろう」
『うん』
二人はもう一度だけキスをして
手を握り直し、寄り添いながら宿へ向かった