【ゴルトレ♀】あいのあと
最後にキスをしながら私たちは果てて、ベッドに倒れ込んだ。暖房が効きすぎた部屋で体を長時間重ね合わせていたから、全身汗で濡れてしまっている。ラブホテルの薄っぺらいシーツは私たちの体液を含みじっとりとした感触になっていた。
賢者タイムは、女にもある。頭がぼうっとして視界もなんとなく不鮮明だ。少しずつ瞼がとろんと重くなってきて、私は今にも眠りに落ちそうだった。隣に横たわるゴールドシップはそういったことはあまり起こらないたちのようで、仰向けでうとうとしている私に腕枕をしながら、何も言わずにじっとこちらを見つめていた。
ラブホテルによく流れている謎のBGMが、いやに心地いい。私が意識を手放す寸前に、首の下にある腕が動いて、首筋にむにゅりと柔らかな感触を覚えた。
すぐに彼女の唇は離れるかと思ったけれど、しばらく私の首のくぼみに押しつけられたままで、強く皮膚を吸われているのがわかった。
がんばって目を開けようとしているのだけれど、私の上瞼と下瞼はどうしても離れるのが嫌なようだった。
「ゴルシちゃん、急にこんなこと……どうしたの」
キスマークをつけるなんて、彼女には滅多にないことだったから、私は目を閉じたまま彼女に問いかけた。
「あんまりにも可愛いから、ゴルシちゃん心配になっちまったんだよ」
悪戯っぽい彼女の笑い声にはどこか照れ隠しのようなものが含まれているように思えた。
「いつもはこんなことしないから、何かあったのかなって」
気になった私が質問を重ねると、彼女はちょっとむっとした口調で続けた。
「待ち合わせ場所でトレーナーがナンパされてたの、見てたんだよ。だから、今度からアタシのだーってアタシがいなくてもみんなにわかるように、つけたんだ」
ゴールドシップは意外に嫉妬深いから、私はナンパされたという話を彼女にはしていなかった。しかし、彼女はその時すでに集合場所に到着していたらしい。
「見てたんだ、ごめんね。やきもち妬いちゃうかと思って……」
意識が途切れ途切れになり、蚊の鳴くような声で私は言った。
「ああ、すんげー妬いた。ほんとは、男でも女でも子供でもオメーが楽しそうに話してると嫉妬しちまう」
彼女は自嘲気味に笑った。
「アタシだけ見てて欲しいって思うけど、それはわがままだってのも分かってる。アタシだってもうオトナだし?」
これくらいの独占欲は許してくれよ、なんて囁いて彼女は愛おしそうに私の首元についているであろう“あいのあと”を愛おしそうに指でなぞった。
彼女がキスマークをつけるときのぴりっとした痛みとまではいかない感覚を何度も頭の中で反芻しながら、私はゆっくりと眠りの世界に落ちていった。
賢者タイムは、女にもある。頭がぼうっとして視界もなんとなく不鮮明だ。少しずつ瞼がとろんと重くなってきて、私は今にも眠りに落ちそうだった。隣に横たわるゴールドシップはそういったことはあまり起こらないたちのようで、仰向けでうとうとしている私に腕枕をしながら、何も言わずにじっとこちらを見つめていた。
ラブホテルによく流れている謎のBGMが、いやに心地いい。私が意識を手放す寸前に、首の下にある腕が動いて、首筋にむにゅりと柔らかな感触を覚えた。
すぐに彼女の唇は離れるかと思ったけれど、しばらく私の首のくぼみに押しつけられたままで、強く皮膚を吸われているのがわかった。
がんばって目を開けようとしているのだけれど、私の上瞼と下瞼はどうしても離れるのが嫌なようだった。
「ゴルシちゃん、急にこんなこと……どうしたの」
キスマークをつけるなんて、彼女には滅多にないことだったから、私は目を閉じたまま彼女に問いかけた。
「あんまりにも可愛いから、ゴルシちゃん心配になっちまったんだよ」
悪戯っぽい彼女の笑い声にはどこか照れ隠しのようなものが含まれているように思えた。
「いつもはこんなことしないから、何かあったのかなって」
気になった私が質問を重ねると、彼女はちょっとむっとした口調で続けた。
「待ち合わせ場所でトレーナーがナンパされてたの、見てたんだよ。だから、今度からアタシのだーってアタシがいなくてもみんなにわかるように、つけたんだ」
ゴールドシップは意外に嫉妬深いから、私はナンパされたという話を彼女にはしていなかった。しかし、彼女はその時すでに集合場所に到着していたらしい。
「見てたんだ、ごめんね。やきもち妬いちゃうかと思って……」
意識が途切れ途切れになり、蚊の鳴くような声で私は言った。
「ああ、すんげー妬いた。ほんとは、男でも女でも子供でもオメーが楽しそうに話してると嫉妬しちまう」
彼女は自嘲気味に笑った。
「アタシだけ見てて欲しいって思うけど、それはわがままだってのも分かってる。アタシだってもうオトナだし?」
これくらいの独占欲は許してくれよ、なんて囁いて彼女は愛おしそうに私の首元についているであろう“あいのあと”を愛おしそうに指でなぞった。
彼女がキスマークをつけるときのぴりっとした痛みとまではいかない感覚を何度も頭の中で反芻しながら、私はゆっくりと眠りの世界に落ちていった。
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