【パマトレ♀】愛してるって言ってよね

「一応私、結構好きって言葉にしてると思うけど……何か不安にさせることしちゃった?」
 彼女はぶんぶんと首を振って、黙っていた。私よりほんの少しだけ背の高い彼女は、しばらく考えるような仕草を見せた後、ほとんど同じ高さの目線で私のことを見つめた。
「ううん、好きなのはわかるんだけどその……ほら、私たち長いことズッ友だったじゃん。その頃から好きピとか言ってたから、好きの言葉が当たり前すぎて……なんかこう……もっと愛を感じられたらなー、みたいな?」
 パーマーは後ろに手を組んで、視線を地面に落とした。
「なるほど、それで不安になっちゃったわけだ。確かに、昔からヘリオスと3人で好き好きって言い合ってたもんね」
 うん、と彼女は恥ずかしそうに笑った。
「子どもっぽいってわかってるんだけど、どーしても不安になっちゃうんだよねー。ほら、私結構考え込んじゃうタイプだし?」
 少し外れた裏路地なので、人は私たち以外にいなかった。目の前には高いビルの裏側が天へと真っ直ぐに伸びているだけで、自販機以外には何もない。
「ごめん、忘れて。ほら、行こ?」
 解いていた手を再度繋ごうとしてパーマーが手を伸ばした。その顔は全然、明るい笑顔ではない。きっと彼女は気を遣ってこの話を終わらせようとしたのだろう。
「好き、だけじゃ不安か。それじゃあ……」
 私は伸ばされた手を掴んで、そのまま自販機の陰へとパーマーを連れて行った。
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