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● ○ ● ○ 数件当たってまわる。聞き込みに同行するとは言っても、オレは事件の詳細を知るワケではないので、本当にただのお供だ。必要な情報は、彼女がうまいこと聞き出した。しばらくぶりに相棒の仕事ぶりを眺めたが、どうやら数か月の内にまた成長したらしい。(それだけ、頑張ったってことだな)「今ので最後か?」「うん……」「どうした?」「う、ん……いまの、なんだか気になるんだ」「今、聞き込んだ男?」「うん。どこがどうってはっきりとは言えないんだけど、なんだか引っかかる……何が引っかかるんだろう」『うーん』とうなり、考え込んで後ろを振り返る彼女。「……そうだ、あの目だ。あの目とあの、話してる時の反応……気になる。何かあるような気がする。ただのカン、だけど」「カンも大事。それだけじゃダメだけどな。気になるなら*洗ってみたらどうだ?」「でもぉ……」「カンだけじゃ、上を説得出来ないってか? どうした? いつもなら、納得するまでやるだろう?」「そうだけど、出先だしぃ……。僕が気を付けないと、室長や滝さんに迷惑が掛かるかもぉ」「ふーん。じゃあ、波風立てねえように大人しくして、放っておくか? ……らしくねえな。それで後悔しないのか?」「……する」「なら、しねえようにしろ。まずは、滝口さんに相談してみろ」「うん。分かった。そうする」「それで、もしダメだったらな。オレが付き合ってやるよ。時間外にあたってみようぜ」「えー! いいよ。もし、滝さんに分かってもらえなかったらさ。僕一人でやってみるよ。だって、ばれたら問題になるもん。きみは聞かなかった事にして──」「やだね」「やだって──」「やだよ。オレはお前の相棒なの。オレ達は、一心同体だろ? 違うの?」「ふっ。違わない。すぅ、きみってば……。僕のカンが外れても骨折り損のくたびれ儲けになるし、ばれたら大変になるのに」「骨折り損のくたびれ儲けなんて、この仕事してりゃある事だろ。ま、やるだけ、やってみて、外れたら外れたでもいいじゃねーか。引っ掛かりは一個ずつ、潰して行くしかねえよ。滝口さんだって、分かってくれるんじゃねーか? パッと見の印象だがあの人、そういう手間を惜しむタイプにも見えなかったしな。それに、お前ってカンが働くから、なんかあるかも知れない。がんばれよ」「うん頑張る。ありがとう。あ、そうだ。ちょっと、報告入れるから待ってて」 帳場に連絡を入れてる彼女を眺め待っていると、電話を終えこちらを向いた。「あのさ。まだ上いたから、ちょっと報告に行きたいんだけど」「ああ。じゃあ、行こう。オレも一緒に行って報告が終わるまで廊下で待ってるよ」「いいの?」「もちろん。今夜、帰れそうなんだろう? 如月が言ってた」「うん。大丈夫そう」「なら、なおさらだ。報告、済ませて一緒に帰ろう」「うん。ありが──ん? すぅ、なに笑ってんの?」「頑張ってんなーと思ってな──あ? なんでヘンな顔してんだよ?」「それ、いつもはダメなのにって意味じゃないよね?」「違うよ。相変わらず頑張ってて感心したってほめてるんだよ。さすが、オレの相棒だ」 途端にふにゃっとした顔になり『えへへ』とはにかんだ。「なんだよ。嬉しいのか。ふふ。可愛いな、お前は」 抱きしめたくなったが、そうもいかないので髪をくしゃっと撫でると、彼女はいつもの猫みてーな顔になった。久々に見るその顔に胸があたたかくなりほんのひととき、幸せを感じた。洗う:身元などを詳しく調査する事
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