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「小僧、ここ、どこだ? 聞き込みは……」「ここ? ここは*本店。捜査室だよ。滝さん、具合は? 覚えてないの? 聞き込みの時、倒れたんだよ」「あ? 倒れた? 俺がか?」「そうだよ。だから、飲めって言ったろ? なのに滝さんってばさー、くっだんねー意地張りやがって『俺はそんねにやわじゃねえ。大丈夫だ』って飲まなかったんだよな。その後、いくら説得しても『うるさい。ガキと女の指図は受けねえぞ』とか失礼な事まで言い出してさ、頑として飲まねえで。その挙句、いきなりぶっ倒れたんだろうが。全く」「そんなはずねえ。俺は倒れるほどやわじゃねえ。小僧、お前またオーバーに言ってんだろう」「ああ゛? オーバーになんか言ってねーつーんだよ。そんなウソついて僕になんの得があるつーんだ」「もういい。そんな事より小僧、聞き込み、どうした?」「そんな事ぉ? くーぅ! ひとの苦労も知らねえで。ったく、このがんこじじい」「がんこじじいで悪かったな。ケツの青いガキよりましだ。ほら、青二才。聞き込み行くぞ」「青二才だとぉ? むかー! このじじいは。ムカつく! いい! また倒れられちゃたまんねーから、滝のおっさんは、もう少し寝てろよ。僕が行って来る!」「ふんっ。未熟なガキひとりに任せろって言うのか?」「そうだよ! じじいは寝てろって言ってんの!」「やだね」「ほぉー。そうか。普通に言って分かんねえんだな。……ふーーん。なら、仕方ねえな……」 そこで、彼女は咳払いをひとつ。きりっとした表情になり滝口に向き直ると、威厳のある声でぴしゃりと告げた。「滝口巡査長。よく聞きたまえ。私は巡査部長で、きみより階級は上だ。よって命令する。私が戻るまでここで待機していろ! 拒否は一切、認めん。以上だ!」「なにぃ?」 不服そうな滝口に一転、ニヤリと片側の口角を上げ言い聞かせるように言った。「なにぃじゃねーよ。上官命令。あのねー、ここは階級組織なんだよ。たったひとつでも上は上なの。こんな手、使いたくはねーけどさ。仕方ねーだろうが。いつまでも駄々こねてるおっさんの相手してる時間はねーんだからよ。なあ、滝のおっさん。知ってるか? 熱中症でもな、死亡する人は毎年結構な人数いるんだぜ? 滝のおっさんに、何かあったら悲しむひと達がいるだろうが。あの優しいかあちゃんとか、きれいな娘さんとか、あとはこの僕とかなー。へへへ。だから、無理しちゃダーメ。心配しなくてもちゃーんとやってくるよ。だからさ、滝のおっさんは今はおとなしくしてろ。分かった?」 滝口に念を押し立ち上がると室長に言った。「室長ぉ、このひと。あんまいうこと聞いてくれるひとじゃないんで、ちょっと見張っといて下さーい」「ふふ。分かったわ。こっちは任せなさい。昴、アンタ。一緒に行って」「え? 僕一人で大丈夫ですよ?」「ダメよ。捜査は二人一組が鉄則でしょ。それに、昴も一緒に行った方が安心だって」「そうそう。行くぞ、なまえ」「チビ助、昴の気持ちくらい汲んでやんなさいよ。さ、いってらっしゃい」 彼女を促し、聞き込みに向かった。*本店:警視庁の事
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