ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
● ○ ● ○ 駆け付ける途中で出くわした小野瀬さんが『何、何?』と言いながらついてくるのに室長が『分からねえ! でも、チビ助の一大事だ』と叫ぶのが聞こえた。小野瀬さんも交えて、全員でわらわらと降りて行く。閉庁時間になる一階は、ひと気がまばらで彼女をすぐに見つけられた。自分よりでかい男を肩で担ぐように支えながら、重そうにずりずりとやって来る。名を呼び慌てて駆け寄ると『うぅー。お、もーい』と死にそうな声を漏らす。明智さんと藤守が彼女から男を引き受ける。真っ赤な顔で汗だくになり『疲れたー』と、力尽きたようにへにょりとなる彼女を掴み支えた。事情をざっと聞くと男は麹町署の滝口という刑事で彼女の相棒。この周辺で聞き込みの最中に熱中症でダウンし、ここに運んだという。「とりあえず、捜査室に運びましょう。如月、経口補水液買って来て」「あ、いい。それ、あるの。これ、飲ませて……」「チビが持ってたのに、倒れる前に何で飲まなかったの?」 不思議そうに思わず聞いた小笠原に彼女は、ちょっとムッとした顔で『がんこじじいだから』とだけ答えた。「なんか、ありそうね。とりあえず行きましょう。昴、チビ助は頼んだわよ」「はい。なまえ、相当疲れてんだろ。足に来てる。おっと、やっぱふらふらだ。危ねーな。無理すんな。もう人もあんまり人もいねえし、連れてってやるよ」 彼女をひょいと抱き上げた。 ● ○ ● ○ 捜査室で滝口の衣服をゆるめ経口補水液を飲ませて、冷えたおしぼりを乗せソファーに寝かした。「おチビちゃん、大丈夫? はい。冷たいの、飲んで」「チビ助。このでかいの、どっから運んで来たの? え? そんなに? それじゃアンタ。へろへろにもなるわねえ」「このひとは大丈夫そうだ。チビ、お前も少し休め」 おしぼりを渡しながら、明智さんが言う。『ありがと』と受け取り顔を拭くと時計を見る彼女。「あの、悪いんだけど滝のおっさん頼むよ。今日中に聞き込みに行きたい家が、まだあるんだ。僕、ちょっと行って来る」「今日中やないとあかんの? お嬢かて、へろへろやんか」「ん。そうしないとさ色々とねー」 彼女が口ごもる。滝口が目を覚ましたようで、身じろいだ。
このサイトの読者登録を行います。 読者登録すると、このユーザーの更新履歴に新しい投稿があったとき、登録したアドレスにメールで通知が送られます。