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● ○ ● ○「ねえ、すぅ。大丈夫? 夏の疲れでも出た?」 そう声がして、見れば彼女が下から心配そうに見上げてた。キッチンで夕食の支度をしながら思考にとらわれ、心ここにあらず状態になってしまってた。「具合、悪い? 熱あるとかぁ──」 彼女はすっかり心配してでこを触ろうと、背伸びをしながら手を伸ばす。その手を握り掴む。彼女の心配が、なんだかちょっと嬉しくなる。心配させてるのに、不謹慎と分かってはいる。だけど、思わず顔がほころぶ。オレの反応を見て彼女が小首をかしげる。オレが無理してるのか、見極めようとしてるみたいだ。「大丈夫。具合なんか悪くねえよ。ふふ。本当だって」「じゃあ、悩み事? なんかあった?」 本当に心配させちゃったみたいで、心配気にくりくりおめめがじぃっとオレを見つめる。「いや、悩みなんてねーよ。元気。心配するな、オレは元気だし、いつも通り幸せだよ」「うそ。なんかあるんでしょ。僕に言いたくないこと? まあ、無理には聞かないけど。でも……ひとりで、無理しないで」 そう、ちょっと悲し気な顔になった。「うそじゃないって。本当に何もないよ?」「だって、すぅ、最近よくため息をついてるじゃん」(うっ、そうだったっけ? 無意識だなあ。しかし、よく見てんなあ。やっぱオレ、愛されてる、よなあ)「すぅ、ほんとどうしたの? さっきため息ついてたのに、急にニヤニヤして……やっぱ疲れてるんじゃない? ねえ、ご飯の支度、あとは僕がやるから、あっちで休んでてよ。なんか心配──っん」 オレを心配する彼女が、可愛くて、可愛くて唇を重ねた。唇を離し見れば目を丸くしてた。「ありがと。本当に大丈夫だよ。安心して。パワー補充はもっとしたいけど……。ま、今ので足りない分はさ、飯のあとでな。そん時は遠慮なくもっともっと沢山、なまえちゃんパワーを補給させてもらうからよろしく」「え?」「ん? 今でもいい? オレは飯食ってお前がパワー補給してからのがいいかと思って我慢したんだけど。我慢しなくて、いい?」 ニヤリと笑いながら顔を覗くと、赤い顔になった彼女が焦り言う。「あ、あと、あとにして下さい」「ん、分かった。じゃあ、あとでこころいくまで補給させてもらうからよろしくー。さあ、ご飯、ご飯。いやー、お許しが出たし。飯のあとが楽しみだなあ。ふふふ」 料理を運びながらそう言うと彼女が『え? ええ? なんか僕、騙された? ちょっとぉ?』と言いながら追ってくる。『さーな』と笑いながら彼女を見ると、まだちょっと赤い顔であたふたしながらも、その手にはトレイに乗せた残りの料理が握られている。(慌てて追って来ても、手ぶらで来ないあたり……オレの奥さんはさすがだ) つい、また笑ってしまい目の前に座る彼女が『あー! また笑ってるぅ。もしかしてきみ、僕をからかってるの?』とちょっとふくれた。「いいや。オレの奥さんがあんまり可愛いんでうれしくなってなぁー。こんな娘(こ)と結婚できてほんと、幸せだなーってつい、にやけちまったんだよ。ありがと、オレと結婚してくれて」 腰を上げ彼女に軽くちゅっとした。彼女が嬉しげにふわりと笑う。「僕こそ、ありがとう。おかげで僕も、とーっても幸せだよ」「そっか。ふたりとも幸せって、サイコーだな。ところで、もうすぐ結婚記念日だろ。今年の結婚記念日もサイコーにしたいんだけど、なんかリクエストある?」「んーっとね。リクエストっていうかぁ、お願いがある」「ん? 何?」「えっと、九月十四日、僕とデートしてくれませんか? ふたりとも非番だよね。ダメ?」 彼女はそう言って上目使いで見つめた。「いいよ。よろこんで──なぁ?」「うん?」「やっぱり、先にこっち食べていい? お前、可愛すぎ……もう、オレ……我慢できそうもねえや」 そう言って有無を言わさず、唇を奪う。熱いキスの嵐を降らせるとすぐに彼女から甘い吐息が漏れはじめた。 その後、あっけなく彼女が陥落したのは言うまでもない。
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