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「如月君、少し言い過ぎだよ」「小野瀬さん大丈夫ですよ。チビは最強アマゾネスですからねー」「アマゾネスぅ? むぅーアマゾネスってぇ……なんだよぉ。もぅ」 唇を尖らしぶつぶつと独り言のように言ってから、続けてムッとした口調で如月に早口に言い切った。「と、とにかく、日々の努力は必要なの! 僕は、チビだけど格闘マニアじゃないもん。刑事だもん」 彼女は、ちょっと傷付いたみたいだった。なんとなく、オレには泣きそうなのを我慢してるみたいに見えた。「チビ、なんだよ。ご機嫌斜めか? プリプリすると可愛くないぞー」「はいはい。そーですね。アマゾネスですもんね。可愛くないですよねー。──如月さんは、ほんと、僕にだけ容赦ないよな。他の人にはそんな事ないのにぃ。ま、何でも良いけどね。でも、たまには仕返ししたいな……ねぇ、室長ー。このいじわるな先輩、蹴り倒してもいーですか? 許可して下さーい」「ダメよ。チビ助。我慢しなさい。チビキックで、傷害致死になったら困るわ」「ちぇー。やっぱり仕返しはダメかー」 唇を尖らし彼女が言うのに、如月は冗談として受け取ったようで、更に笑いながらからかうみたいに返した。「チビ、なんだよ。公兄ちゃんを殺す気かー。格闘マニアのそんなスゴい蹴り、やられちゃたまんないよ」「公兄ちゃんねぇ……。でもさ、僕、いじわるなの、やだもん。嫌い。いじわるな兄貴なんか、いーらなーいよーだ」 プイッとそっぽを向いた。「あーあ。あかんわ」「如月君。君、とうとうおチビちゃんに嫌われたね」「えー、はは。そんなオーバーな。大丈夫ですよー。な? チビ。え? チビ? ……なあ、公兄ちゃんは、ちょっとからかっただけだぞ? 分かってるよな? おいってば」 彼女は聞こえないふりで、知らんぷり。如月が焦る。小笠原がボソッと言った。「自業自得」「だな。如月は常日頃から、チビをいじめ過ぎだ」「そうや。明智さんの言う通り。如月君、きみはちぃーとばっかしやり過ぎやな。ついこないだも室長に、やめとけ言われてたやんか」「なまえ、じゃあ如月さんの代わりに俺がお兄ちゃんになってやるよ。和兄ちゃんって呼んで良いぞ」「はあ? 和くんまで、何を言い出してんの。もーみんなしてからかってぇ」 また、彼女の唇が尖る。「谷田部。なまえには兄貴役はもう沢山いるから、要らねーってよ」「あれ? 一柳さん、やきもちですか? 良いじゃないですか。別に旦那役にしろとは言ってませんよ? ま、俺はなまえの旦那役なら大歓迎ですけどね。なんなら交代しましょうか?」 ちょっとバチバチし始めた所で、彼女が淡々と口を開く。いつものように止めに入るのではなく、無表情で極めて淡々とした口調だ。その様子から彼女が機嫌の悪いらしいことを知る。「そんな事よりさ、もう今日のトレーニング終わりでしょ? 僕、お腹が空いたー。もう帰りたいな。……ってか、帰る! 和くん、今日もありがとうございました。またよろしくお願いします。皆さん、お疲れ様でした。お先に失礼します。では、さいならっっ!」 よっぽどご機嫌斜めらしい。みんなに一旦下げた頭を上げるが、如月が『チビー』と掛けた声にはあからさまにプイッとして、ドアへとズンズン歩き出した。「あ、なまえ。オレも一緒に行く。おい、ちょっと待てって。みんな、お先!」 後ろで『あーあ』と言うのと『お疲れ』と声が聞こえた。後ろ手をあげてみんなに挨拶し、こちらを振り向かずにズンズン先に行く彼女を慌てて追った。 お腹が減ったせいもあるんだろうが、彼女が人前でこんなにご機嫌が悪いのは珍しい。
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