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「ねえ、おチビちゃん。誕生日だし、俺とデートしない?」「え?」 チビ助が驚いたように振り向く。「昴君もいないし、一人じゃ寂しいでしょう? 美味しいご飯でも俺と食べない?」 チビ助が何か言う前に横入りする。「そうだな。よし、行くぞ。チビ助。何が食いたい?」「あれ? 穂積も行くの?」「当たり前だ。お前と二人なんてな、危険過ぎる。それこそバレてみろ。父さんがついてて何やってるって、俺まで昴に殺される」 小野瀬は一旦ラボに戻り、俺達も帰り支度をした。 「楽しみにしろよ? 今夜はお父さんとお母さんが、チビ助の好きなもんいっぱい食わせてやるから」 小野瀬待ちをしながらそう言う。どことなくちょっと寂しそうだったチビ助が、漸く自然な笑顔になった。小野瀬が『お待たせ』と戻って来てさあ、行くかと腰を上げた時、デスクの電話が鳴った。出ない訳にも行かず出てみると、意外な人物からだった。 ● ○ ● ○「ここ、ですか? なんか……ひと気がない」 呼び出されたホテルに着き、外から中を覗いたチビ助が不審そうに呟く。「最近物騒だからな。テロ対策で王女さまが貸し切ったらしいぞ」 俺の言葉に小野瀬とチビ助が『さすがに、お金持ちだ』と驚く。「こんな格好で大丈夫なんですか?」 チビ助がくもった顔を、引きつらせながら言う。「ああ? 仕事帰りじゃ正装でなくても、仕方ないだろう」「五つ星ホテルか。初めて来たけど、豪華なホテルだなあ。で? 穂積、お金持ちの王女さまが警備担当でもない俺達に、何の用だって?」「分からねえ。俺達というより、会いたいのはチビ助らしい。一柳警視の奥様にぜひお会いしたいと。俺達はおまけだ」「奥様……やっぱり僕がこんな男装じゃ、昴が恥を掻くんじゃないかなあ」 チビ助が尻込みする。「気にするな。昴がそんな事で、チビ助を恥と思う訳がねえ。お前は堂々としてろ」「……会いたいって、何でだろう?」「ビビんなよ。チビ助」「大丈夫。おチビちゃんには、俺も、泪お父さんも、みんなついてるよ」「そうそう。みんなお前の味方だ。さ、行こうぜ」「あ、これ。外さなきゃ。怪我の事は内緒、ね?」 チビ助が、手を吊っていた布を外し、小さくたたんで内ポケットにしまった。
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