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● ○ ● ○ 派出所で状況を聞くと、巡回中に不審者を見掛けたようだ。職質しようと声を掛け近寄るも、逃げ出された。追跡したが結局、見失ってしまったらしい。地図で場所を確認した。「目撃されているのは、この辺りに集中していますね?」 僕の言葉に派出所の巡査が教えてくれる。「ここは、学校が多いので……それで、でしょうか。ここが中学校。こちらに小学校、そしてこことここが高校です。こっちが公立高校で共学、こちらは私立の女子高です」「ふーん。ならこの多発してるのは、通学で使われる道って事?」 室長が聞くと巡査が頷く。「ええ。ここやここ、それとこの辺りの道はどこの学校の生徒も、よく通ります」 とりあえず、話しにあがった道や学校へ行ってみる事にした。「丁度下校時間ですね。ちょっと話、聞きましょうか。……んー、あれですね、室長。ここは手分けして効率良くやります?」「ああ。そうするか。チビ助、そっちな。何かあったら声、出せ。一人で暴走禁止だから」「了解です」 疑わしそうな目の室長に、はきはきと返事を返す。二手に別れてさっそく聞き込みをはじめた。 帰宅組の生徒の下校がだいたい済んだのか生徒達の姿も、他の人影もほとんどなくなった。「チビ助、そろそろ引き上げるか?」「そうですね。室長、収穫ありです。有力情報Getしましたよ」「*マルモクがいたか?」「はい。さっき聞き込んだ女の子達が顔、見てたんで──」 僕の言葉を遮るように、女の子達の悲鳴と助けを求める怯えた声が響いた。何かを考えるより先に、その悲鳴に反応して僕の身体が動く。条件反射的に、足が地面を蹴り駆け出していた。 すぐ先の角を曲がると真っ黒なフードを被った人物と二人の女の子達が見えた。一人の女の子がすでに倒れ、その横でもう一人の子が腰を抜かしてた。「おい! 何してる!」 そう強く叫び、猛ダッシュのまま駆け付け寄る。不審者と女の子の間に立つと、その声や勢いに不審者がひるんだ。僕は、その隙を逃さず腕を掴み背負い投げた。 投げてる時に、背後に室長が来た気配がした。数歩先の路上に転がる不審者はのびてるように見えた。近寄り拘束するが、やはり不審者は動かなかった。その状況につい、油断が出た。不審者は押さえていたものの、倒れてる子は大丈夫だろうかと一瞬気がそれた。いきなりどんっ! と衝撃を受けバランスが崩れた。不審者はその隙に拘束を振り切り、ポケットから何かを取り出した。瓶のようなものの蓋を開けると、腰を抜かしたままの女の子に今にもかけそうだった。(マズいっ!) 無我夢中で動き飛び込む勢いで、女の子に覆いかぶさった。「チビ助!」 僕が覆いかぶさるのと、室長の声がしたのと、焼けるような感覚を感じたのがほぼ同時だった。僕の腕の中でがたがたと震えてる女の子に『大丈夫?』と声を掛けると頷くのが見えた。(もう一人は……つーか、結構ヤベーな。痛てえぞ、これ……焼けるみてえだ。余裕、あんましねえかも…………いや、まだダメだ! しっかりしろ!) 自分にげきを飛ばし気持ちを奮い立たせる。立ち上がると痛みが走った。(今、僕らは二人。室長はマル被を確保してる。なら、マル害の担当は僕だ。緊急に応急処置が必要かも知れない……ヘバってる場合じゃねえ。しっかり……しっかり、やり切るんだ) 倒れてる子に声を掛けた。意識がない。外傷の有無、呼吸、脈拍を見る。そこで女の子は漸く意識を取り戻した。痛い所や具合を訊ねる。どうやら、大丈夫らしい。 室長が呼んだのかさっきの派出所から応援が来た気配がした。どっと気が抜けたら、また痛みが襲って来た。気が遠くなるのを、かろうじてこらえる。(まだだ。もうひとつ、もうひとつ、やる事がある──)
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