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● ○ ● ○ 警護の任務中は家に戻れない。だから、次に会う時のは、彼女の誕生日後になる。毎年、誕生日の当日に誰より早くおめでとうとキス出来るのが、密かなオレの楽しみだったのに。今年はそれすら出来ない。仕事じゃ仕方ないと承知してても、本心では未だに残念だ。予約したこたつで夜桜は結局、明智夫妻に進呈した。 彼女は今朝、いつもより早い時間に出るオレの為に朝食を作り、出掛けには玄関までついて来て見送ってくれた。膨れも拗ねもせずに笑顔でいてくれる。だけど、オレの方はどうしても気持ちが晴れない。陰鬱な気分に包まれていた。いけないと分かりつつもつい、ため息が出そうになる。 でもそんなオレに、彼女は前回のクリスマスの時と同じように励まし身を案じてから笑顔とキスで送り出してくれた。「頑張って。元気出して……。笑って? すぅ、僕の好きな顔、見せて? ね? あのさ、河童に水練かも知れないけどぉ、警護に集中して。他の事は大丈夫だからさ。すぅは、お仕事に集中して。じゃないと危ないから。ね? 気を付けてよ? それで、無事にちゃんと帰って来て。僕、待ってるから」(なまえのやつ、我慢してるよな……隠しても、やっぱり目がさみしそうだったもんな。本当、いい女を嫁にしたよな。オレって。……さてと、オレも負けてはいられねえな。気合い入れて頑張るか) わがまま王女の警護につくべくSPルームに向った。 ● ○ ● ○(今日は僕の誕生日。去年の素敵な誕生日から早いもんでもう一年。僕も歳相応に大人になって成長していかないと。さてと、藤守さんも昴もいないからその分、しっかり頑張ろう) そう思い、改めて気合を入れた。「チビ助」「はい」 室長に呼ばれデスクの前に行くと、室長が腰をあげた。「今日、例の不審者あたるんでしょう?」「はい。その予定です。あと派出所にも寄って来ようと思ってます」「じゃあさ、今日は私と行きましょう」「え? いいんですか? 室長、お忙しいですよね? 今日は会議とかないんですか?」「まあ、私はいつもお忙しいわよ。でも、今日はね。明智と如月コンビはもう出ちゃってるし、藤守は今日まで休暇で北海道だし、昴もいないでしょ」「小笠原さんは?」 僕がそう聞くと後ろで小笠原さんの声がした。振り向くと小笠原さんがちょっと頭を下げた。「ごめん。俺、今やってるの、待ってくれないかって掛け合って来たんだけど、どうしても今日中にあげないとまずいらしいんだ」 室長が『やっぱりダメだって?』確認すると小笠原さんが頷く。「なら、僕一人でも──」 無理させるのは、悪いと思い慌て言う。「ダメよ。捜査は二人一組であたるの。知ってるでしょう? それにアンタみたいなじゃじゃ馬娘、危なくて一人でなんか行かせられないわ。大丈夫よ。一応、今日は会議ないから。さあ、行くわよ。小笠原──」「任せて。何かあったら連絡する。チビ、気を付けて」「はい。じゃあ、行って来ます」「行ってらっしゃい」 小笠原さんの声に送られ僕達は捜査に向かった。
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