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● ○ ● ○ ため息が出そうな重い気分で、SPルームのドアを開け中へ入った。「班長。あれどうなったんですか?」 そらが俺の顔を見るなり聞いて来た。「あれ? あれって何だ。そら」「ほら、王女の護衛の件ですよ。納得してくれたんですか?」「いや、それがなぁ……」 今もその件で方々と掛け合って来た所だ。結果として、うまく行かなかった。ため息が出そうな気分だ。みんなが寄って来る。海司が、心配気に言った。 「もしかして、やっぱり昴さんじゃないとダメって事ですか?」「ああ。どうしてもと言ってな。外務省や総理の方にも連絡があったらしい。上は、協力依頼をする事に決めたらしい」「来日は二十六日から二十九日までですよね? 二十七日は昴さん、休暇スよ。その日は俺等の内の誰かで、大丈夫なんスよね?」「いや、その場合ほぼ専属という事になるんでな。二十七日の休暇も別な日にしてもらう事になる」「えぇー。本当ッスか? だってあいつ『誕生日はお花見デートなんだ』ってはしゃいでたのに。だから、ちょっと早かったけど誕生日プレゼントに、俺と結菜で可愛い服買ってやったんですよ。あいつ『これ着てく』ってそりゃー嬉しそうに……スッゲー楽しみにしてたんです。班長、せめて一日、一日だけでもなんとかなんないんスか? 俺が代わりじゃダメッスか?」 海司から話を聞いてため息が出た。「なまえさんには、クリスマスの時も迷惑を掛けたしな。俺もなんとかしたかったんだが……力が及ばず申し訳ない」「その王女様は、一柳警視じゃないとダメなんですか?」 事情を知らない真壁が首を捻る。瑞貴が俺に代わり答えた。「そうなんだ。王女様の初来日の時に昴さんが護衛について。それ以来、来日の時は昴さんご指名でね。昴さん以外はイヤだって」「要はさ、一目惚れで昴さんにお熱なんだよね」「でも、異動してもう何年も経ちますよ?」「それは王女サイドにも伝えてもらったんだがな。国王じきじきに総理へ要望があったらしくて……はぁあぁ」「あの国王、王女を猫可愛がりしてたもんな」「ですね。ねだられて、総理に連絡するのが目に見えるようです」「困ったもんですね。一柳警視には、もうなまえちゃんっていう奥さんもいるのに」「真壁の言う通り。全く、昴さんだって毎回断ってたし、いい加減諦めたらいいのにな」「でも諦めない事じゃ、海司だって負けてないよねー。海司、結菜ちゃんが、小学生からずっと好きだったんでしょう?」「そらさん。それは今言わなくても」 そらと海司がわーわー騒ぎ出すと瑞貴がポツリと言った。
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