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「あーあ、すっかり酔っ払いだなー。チビ」 如月が呆れる。室長が笑いながら言う。「いいんじゃねえの。ひな祭りだったんだしな。女が主役だ」「まあ、そうやね」「彼女、頑張ったんだし、今夜くらいわね」「そうだな。しかし、とんだひな祭りになったよな。今年はくるみのひな祭りも出来なかった」「明智家も飾ったんですか? おひなさま」「ああ、もちろんだ。くるみがひな人形を喜ぶ顔を見るのは、毎年俺の楽しみなんだ。如月、お前も女の子の親になれば俺の気持ちが分かるぞ」「喜ぶといえば、お嬢も良い笑顔しとったわ。昴。お嬢にあないなええ表情を、させるやなんてやるやん」「ああ、オレも愛する女の笑顔と気持ち良さそうな寝顔を見るのを楽しみに、生きてんだよ。藤守、お前も愛する女が出来ればオレの気持ちが分かるぞ」 明智さんの真似しながら言うと『かなわんわー』と笑いが起きた。「あんまり騒ぐと彼女、起きるよ」 心配する小笠原の言葉に肩越しに振り向き、寝顔を確かめる。オレの背で、とても気持ち良さそうにすやすやと眠っていた。「ふふ。大丈夫だ。ぐっすり眠ってる。疲れたんだろ」 みんなもそっと覗き込む。「ふっ、幸せそうな、気持ち良さそうな顔して。チビガキがどんな夢見てるんだか」 チビガキとか言いつつ、優しい目をして室長が言う。隣で小笠原も頷く。「本当だね。気持ち良さそうだ」「昴、お嬢はいつもこないに幸せそーな寝顔なん?」「だな。いつもあどけねー顔で、気持ち良さそーに、幸せそーにすやすや寝てんな。朝なんか、気が済むまで寝かせて置いてやりたくなるぞ」「じゃあ、いつもチビは一柳さんより遅く起きるんですか? なら、チビはダメ女房じゃないですかー」「あ? 如月、お前は。鬼嫁の次はダメ女房と来たか。全然ダメじゃねーよ。こいつはオレにはな、この世で一番のサイコーの奥さんだよ。それにな、遅い位でいいんだよ。その方がいーの」「えーそれって、ちょっと甘やかし過ぎなんじゃないですかー?」「如月……お前は分かってねーな。考えてもみろよ。お前よりもちっこいなりで、オレ達にも引けを取らない働きっぷりなんだぞ? 疲れねーワケがねーだろう。疲れてんのにぐっすり眠れねー、オレよりも早く起きるような時はな。心が穏やかじゃねー証拠なんだよ。こいつが自分で自覚してる時も、してない時もな。こいつが不安だったり、悩んでたり、焦りだったり何かしら抱えてる時は、大抵どんなに遅く休んでも早起きなんだ。こいつはお前が思うよりずっと敏感で繊細だぞ。上っ面だけ見てると分からねーだろうけどな。こうしてすやすやぐっすり眠れてるのは、そのまんまこいつが幸せだって事なの。オレにはそれが一番大事」
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