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そして、言葉を選びつつ少し言い難そうに王子が言った。「あのさ、なまえちゃん。今夜のお礼に俺、ひな人形をプレゼントするよ。これは、これとしてさ。ほら、ひな祭りだし俺もなまえちゃんの為にお祝いしたい──」 そこで彼女が笑い出した。「ロブたん。ありがとう。気持ちだけいただくよ。ふふ。ロブたん。今[昴たんが、ちゃんとしたの買ってくれないのかな。でもこれじゃ、あんまりにも小さくてなまえちゃんがかわいそうだ]そんな風に思ったんでしょう?」 王子が焦った顔になった。図星らしい。「優しいね。ロブたんは。でもね。それは誤解だよ。日本って季節事に結構、イベントがあるんだ。だけど僕は、色々と事情があってね。イベント事、子供の頃からやった事が無かったの。昴はね。そんな僕に『今までやって来なかったイベント、全部してやりたい』って言ってくれたの。ひな人形もスゴいの買ってくれようとしたよ。だけど、僕が断ったの。伝統的なひな人形って興味が持てなくて、あんまり欲しいと思えなくてさ」 そこで何か思い出したみたいに、また『ふふ』っと笑った。「でも彼、諦めなくって。『なら、どんなのだったら欲しい?』って聞くの。『飾るなら──可愛くて小さいのが、良いな。でも、そんなの売って無いんじゃない?』って答えたら『無ければ作ろう』って言ってくれて。これ、二人で作ったんだよ。小さいけど愛情は、たくさーん詰まってる僕だけのひな人形なんだ。ふふ。素敵でしょ?」 そう笑った彼女の笑顔は、とても幸せそうだった。「そうなんだ……。うん。とてもステキだ。ごめんね。昴たん、なまえちゃん。俺、勘違いしてた」「ううん。ちっとも気にしてない。おかげで、僕のひな人形を自慢出来たしねー。ふふ。では、食事をどうぞ」 食卓へと王子を促した。「これは可愛い。ひな祭りの料理にしてくれたんだね。ありがとう。ねぇどうせなら、みんなで楽しく食べよう。今日はなまえちゃんのお祝いでしょう?」 そう言われて、結局みんなで食卓を囲んだ。
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