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「なまえ、安心しろ。オレがいるだろう? もし、思うように出来なくてもな、ちゃんとフォローしてやるよ。大丈夫、おもてなしの気持ちが一番大事。料理は愛情だ。なぁ? オレにご飯作る時、何考えて作ってる?」 ゆっくりと背を擦りながら聞く。考え始めると彼女は、ほんの少しだけ落ち着いて来た。「……少しでも美味しいものを、食べさせたいって」「だな。お前の料理、オレ愛情感じてるよ。遊びに来た室長やみんなにも、料理作ってんだろう? その時はどう? [適当でいいや]か?」「ううん。やっぱり同じだよ。美味しくと思ってる」「なまえ。それと一緒だよ。王子に作ると思うから緊張するんだ。友人達をもてなすんだと思え。ロブたんはオレ達の友人だろう?」「うん。友達……」「そうそう。いつもと同じ。心を込めて作れば良いの」「……そっか。それなら僕も出来るかも」「出来るよ。オレ達もいるしな。頑張ろう」 励ますように、頬に軽くキスをする。『うん』と頷くと彼女は漸く落ち着いた。 戻って来た明智さんとアルさんも一緒に、料理に取り掛かった。メニューは決めてあった。せっかくのひな祭りだ。ひな祭りらしいデコレーションのちらし寿司と、はまぐりのお吸い物などのメニューにするつもりだ。一通りご飯の支度が出来ると協力してデザートに、取り掛かった。マジパンでひな人形を作り、フルーツを飾ったケーキを作った。彼女はいつも以上に集中して一生懸命に作ってた。 用意してくれた食材の中には、ひな祭りに関連した物もちゃんとあった。「見てー。ひなあられと菱餅。それに白酒もあるよ。お義父さんの秘書さん、すごいねー。とっても気が利くな。僕も、見習わなきゃ」「へぇー秘書さん、抜かりねーな」「さすが総監付きの秘書になる人材だ。優秀だな」「何から何まで。主人が、ご迷惑をお掛けしまして──」 アルさんが恐縮し、頭を下げる。「いえいえアルさん、頭をあげて下さい。僕はプロじゃないので、大したおもてなしも出来ませんけど」 二人は互いにペコペコするので、なんとなく笑ってしまった。「それじゃ、運びましょうか」 彼女の言葉に頷き、作った物とそれらを食卓に並べる。 リビングで、王子はキョロキョロと何か探していた。「ロベルト様、何をしていらしゃるのです? 失礼ですよ」「う……ん。お小言は置いといてさー。ねぇ? なまえちゃん」「はい」「ひな祭りは女の子のお祝いだって聞いたんだけど?」「ええ。女の子のイベントですよ」「確か、ひな人形っていうの飾るんだよね? 俺も日本からいただいたよ?」「そうですね。ひな人形を飾って歌をうたったりお料理やお菓子を食べてお祝いするんですよ」「なまえちゃん、君の家にはひな人形がないね……昴たん、どうして用意してあげないの? なまえちゃん女の子なのに。昴たんなら、もっとちゃんとしてあげてると思ったよ」「ロベルト様! その様な失礼な事──」「あ、ちょっと待って下さい。お二人とも。あの、うちにもちゃんとおひな様ありますよ? こっちに。これが僕のおひな様です」 ミニチュアびなが飾ってある棚の前へと、王子を引っ張って行き見せた。「ふふ。可愛いでしょう」 にこにこする彼女とは対照的に、王子は少し同情を含んだあわれそうな目の色になり、言葉を無くした。
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