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● ○ ● ○「確認終わりました。不審物及び不審者ありません。どうぞ」 如月から室長に通信が入る。王子が護衛されながら、我が家へ通された。オレ達のマンションもセキュリティは良い方だが、王子を招くに相応しい家ではない。招くような客室もなく広いとも言えない。で、父さんが気を利かせて『一柳家にいらしてもらったら』と提案した。実家ならトメもいる。彼女も心強いだろうとの配慮もあったと思う。ロブたんは、彼女の手料理も食べたいが、日本の友人であるオレ達の家も見たいらしく[一柳家へはまた今度]となり、加え『Mr. 一柳は彼らのお父さんでしたね』から始まり『では、ご一緒しましょう』という事に……。 父さんも色々と公務がある。いきなりでは、スケジュールの調整も追い付かない。ずっとついてるのは無理だ。夜の訪問を約束し、秘書に食材の手配を頼んで引き上げたのだ。オレ達は、王子の希望に沿いつつ観光へ。 ● ○ ● ○ そして夕方になり今は、届いた最上級クラスの食材を前にエプロンをしたオレ、彼女、明智さんがキッチンに立つ。「すごいな。どの食材も最高級品じゃないか?」「そ、そうなの? 明智さん。じゃあ、これ超お高いのかな?」「ああ。これだけの代物なら、かなりするだろうな。これは、作り甲斐がありそうだ。楽しみだな。さて、昴、チビ。何から手をつける? 指示してくれ」「そうですねぇ。なまえがメインでやらないといけないから、なまえ、お前──ん? おい? なまえ、大丈夫か?」 彼女は緊張でガチガチだった。今にも、泣きそうな顔でオレを見上げるとフルフルした。「間違ってる……。こんなの変。なんで一番料理が下手な僕が中心で、プロ並みの二人が手伝い? 逆でしょ。フツー。料理の腕前から考えてもさ、僕が二人の手伝いでサポートでしょ。こんなの、おかしいよ! そ、それに王子様に料理なんて。いつもスゴいの食べてる人に……。そんなたいそうなもん僕、作れない! 僕、フツーの家庭料理がやっとだもん。僕、こんな高そうな食材つ、使った事もないし……無理だよ、無理。どうしよう……」 緊張が限界に達したのか、パニックになった。「落ち着け、なまえ」「落ち着ける訳ないじゃん。昴だってさ、無茶苦茶だって分かるでしょう?」「大丈夫、考え過ぎるな。オレ達がついてる」「だって、だって……」 パニックになりながら、不安に震える彼女を抱きしめた。「そうだよな。いきなりだし、プレッシャーだよな。よし、よし」 慰めてると父さんとアルさんが到着したらしい。アルさんが、少々慌てた様子で、オレ達にあいさつに来た。だが、この状態では余裕も無く──アルさんも途方に暮れた。 明智さんが、オレに小声でそっと声を掛け『お茶を出して、執事さんに事情も説明しておく』とアルさんと共に、出て行った。
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