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今回はまだスケジュールも決めていないようだった。王子の要望を訊ねてみる。どうやら彼は、お腹が空いているらしい。聞きながら、オレは考えをめぐらし算段をし始めた。(先ずは食事をした方が良いだろうな。場所をどうするか──) そこに室長達が到着した。総理は公務で遠方へ出向いていて、都内へ戻る事は不可能らしい。幾ら急かつお忍びでも、それなりの者がきちんともてなさなければ失礼だ。なので代わりに、父さんが待っていてくれるらしい。そちらへ向かった。 ● ○ ● ○ だが──。VIPに相応しい店に入ってすぐに、王子がごね出した。「なまえちゃん。出来たら俺は、こういう所じゃなくて、君達が普段食べてる所で食べたいな。普段、お昼やなんかはどういう所へ行くの?」「普段ですか? 僕らは外食じゃないんですよ。お昼は、捜査室でお弁当を食べています」「お弁当? どんなの?」 王子は弁当に興味を持ち、彼女に色々質問した。普通SPはこんなに話さないが、今は接待役もいないので警護しつつ接待もする。これは結構神経を使う。しかもプライベートでアルさんもいない。王子は、いつもよりもほんの少しだけわがままだった。とりあえず王子をなんとかなだめた。すると──。「え? 晩御飯はうちで、手料理が食べたい?」「うん。君達がどういう所で暮らしているか見たいし、手料理も食べてみたい。招待して」「で、でもロベルト王子──」「なまえちゃん、ロブたんって言ってよ。今はプライベートだから[ロブたん]だよ。なまえちゃんを[あねさん]って呼ぶ女の子に『あねさんは強くて格好良いだけじゃありません。料理も上手いんですよ』って聞いたんだよね。それで、いつか食べてみたいと思ってたんだ。楽しみにしてるからね」 それを聞いてミイコがすぐに思い浮かんだ。王子は室長の所へ行き、何やら話すと上機嫌で父さんの待つ席に行ってしまった。呆然と見送っている彼女に室長が、後ろ頭を掻きながら告げた。「昴、チビ助、王子様は今夜はアンタ達の家に行きたいって」「仕方ないですね。ならオレが何か作ります」「それがね、昴。王子様は是非ともチビ助の手料理が、食べたいらしいのよ。『それがダメならなまえちゃんとの約束は、守れないかもね』って事なの。アンタ、何を約束したの?」 室長が彼女に聞く。「た、滞在中脱走しないって……」「はぁあ……チビ助。こうなったら仕方ないわ。料理、頑張りなさい。大丈夫よ。私はアンタの味、素朴で好きよ」 肩をポンポンやりながら言った。彼女はアワアワしながら、オレを見る。「脱走されても困るしな。こうなったら仕方ねーよ。王子に交渉して、オレも手伝えるようにするから。頑張ろう」「なら、明智にも手伝ってもらえば良いわ。王子は私が納得させるわ。チビ助、二人が手伝えば千人力よ。ファイト」 バンバンと彼女の背を叩きあっけらかんとした室長とは正反対に、青くなった彼女はムンクの叫びのようなポーズで『ひょえ~』っと叫び声をあげた。
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