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「問題が発生しました。緊急事態です!」 電話を置いた彼女がそう告げ、アルさんからの用件を説明した。「よし、なまえ。準備。室長、みんな、プランCでお願いします」 オレの指示に、みんなから『了解!』と声が返る。「チビ助、昴。急いでても運転、十分に気を付けるのよ。私達も手順通りに、手筈を整えて後から追い掛けるから。みんな、急ぐわよ」 連絡や王子を乗せる車両の手配などを、みんなが受け持ってくれる。オレと彼女は一足先に、黒バイクで向かう。黒バイクは暴走族などの検挙目的で和歌山、福岡、青森、宮城の県警と警視庁が採用している覆面車両のオートバイだ。念のため手配して借りておいた。執事や護衛がついていないとすると、かなり危険な状態だと考えていい。プライベートジェットで王子が羽田空港に着く前には、空港に着きたい所だ。一刻も早く急行しなければならない。「なまえ、大丈夫か?」「大丈夫。もし離れても速度ゆるめずに、お互い向こうで会おう」 彼女のバイク歴も腕前もオレは知っている。はっきり言ってバイクならば、オレよりも上だろう。本気で走ればオレが、置いて行かれる可能性も大いにある。その場合、無理に合わせるのはお互いに危ない。「昴。バイク、久しぶりでしょう? 大丈夫?」「ああ。心配ねーよ。お前も気を付けて」「うん。きみもね」 渋滞気味の中を、サイレンを鳴らしながら突っ走って行く。以前ツーリングした時とは違い、やはり彼女は速かった。 羽田空港に着くと、GPSで位置を把握してる小笠原から連絡が入った。「速かったね。ジェットは、まだ着陸前だよ。室長達も、そちらに向かってるから。それと、空港の警備には連絡済み。待っている筈だから黒バイクはその人達に預けて、国賓専用ターミナルに急いで」「了解」 彼女に伝え二人で向かう。しばらくすると、ロベルト王子がやって来た。まるでオレ達が来るのを見越していたかのように、上機嫌でにこにことしている。(ったく。オレ達が対応出来なかったら、どうするつもりだったんだ。この人は! なまえの提案通りに、緊急プランを立てて置いて良かったぜ。やれやれだ) 内心、ため息が出そうな心境だったがこれも仕事だと押し殺し、ポーカーフェイスで迎えた。 だが、もしも度々こんな事をされては、警護するのは大変だ。彼女もそう思ったようで、笑顔で歓迎しつつもタイミングを見計らい言った。「王子、ロブたんの友人として申し上げてよろしいですか? では、遠慮なく──アルさんが大変心配していました。僕らもびっくりしたし、心配しました。どうしよもない時は別ですが、自分を大事に思ってくれる人達に、掛けなくても良い心配を掛けたり不安にさせるのは、良くない事だと僕は思います。ロブたん、内緒でこんな事をしてはいけませんよ。こちらに滞在中も、内緒でこっそりはダメです。何かあったら、必ず昴か僕には言って下さい。でないと僕らは警護担当失格と判断されて、今後王子と同行出来なくなる可能性がありますよ」 ちょっとおどかしつつ、釘を刺し秘密の行動はしないと約束してもらった。ロベルト王子はちょっと反省したみたいだった。
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