横恋慕。
夢小説設定
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例えば、
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あれから彼女の言葉が効いたのか、室長の言葉が効いたのかは、分からないが彼女に張り付くあの視線はなくなった。
あの夜の事やなんかは室長も口にしないし、オレもその話題は出してない。まさか、そんな事はねえと思うが、下手に切り出して『実は、俺もチビ助に惚れてる』なんて言い出されても困る。まあ、もしも言いだされたとしても譲る気は毛頭ない。それが、あのひとだとしても誰であっても、だ。室長と谷田部はたまに飲みに行ってるらしい。ごく稀に藤守も参加してるみたいだ。この前、みんなにお茶出しする彼女を見ながら藤守が、こんな事を言ってた。
「あーあ、エンジェルちゃんが、何人もおったらええのになあ。エンジェルちゃんのクローンとか。そしたら、和くんかて、俺かて、せつない想いする男も減るちゅうもんや」
「藤守さん、意味深な発言ですねー。でも、そうですね―。チビが何人もいたら、俺も彼女にしたいですー。それで、一柳さんみたく尽くしてもらいたいなあ。[こうちゃんは僕のー]なんて言われてさー」
「ええなあ。[賢ちゃん大好き!]なんて可愛い笑顔で言うてくれたらなあ。かぁー、幸せやわ」
「お前達、人の女房で何想像してんだよ」
「想像くらいええやないか。君、そんなに幸せで溢れとるんやから少しくらい幸せ分けても罰当たらんで。モテモテ男前さんの上に、奥さんもめっちゃ可愛くて甲斐甲斐しい。自分、どんだけ幸せもんか分かっとるか? ほんま羨ましい男やで」
「そうだ、そうだー」
「でもなー、モテモテやからって気ぃ抜いたらあきません。もしも、浮気でもしてみぃ、君の後釜候補がワラワラ出て来よるで?」
そう言われて、谷田部や室長、小野瀬さん、いろんな奴の顔が瞬時に浮かんだ。
「バカ、誰が浮気なんかするか。後釜なんかねーの。オレがラストなんだよ」
藤守と如月が盛大にため息をついた。
● ○ ● ○
外回りから戻った時に、谷田部と出くわした。
「真山」
「あ、か……谷田部先輩」
谷田部はオレが最初見た時と同じように、きちんとした身なりだった。どうやら荒れた暮らしからは、立ち直ったらしい。愛称で呼び掛けて言い直した彼女に微笑み、頭をポンポンとしながら言う。
「ん? 今、俺達と一柳さんしか周りにいないからな、和くんでいいよ。そうだ、俺も今度からなまえと呼ぼう。みんな呼んでるみたいだし、別に良いよな?」
彼女が、返答に困ってオレを見る。谷田部がすかさず言った。
「何だ? ご主人に怒られるか? まさか、この程度でいい歳した大人が怒りはしないだろう? 一柳さん、それくらい良いですよね?」
「あ、ああ」
「ほら、お許しも出たし、もう大丈夫。なまえ、色々とすまなかったな」
(やっぱりこいつは後藤並に、いや、それ以上にいけ好かねー。ムカつく野郎だ。でも、まあ、諦めたんだろうしこれくらいは目瞑るか)
「俺さ、今まで自覚なかったんだけど、下手に気持ち抑えようとすると暴走するみたいだ。お前にも迷惑掛けた」
谷田部が頭を下げた。今、人が居ないとはいえ、警視庁の中だ。いつ、誰が見るか分からない。彼女が焦る。
「いや、あの、頭上げてよ。ね?」
オレの予想ではもっと神妙な面してるかと思ったが、頭を上げた谷田部は予想外にあの日捜査室で見た爽やかな笑顔だった。嫌な予感がした――。