横恋慕。
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定主人公は男装女子なので男でも女でも通用する名前がおすすめ。
例えば、
ユキ、ジュン、アキラ、カオル、ユウキ、ヒカル、チヒロ、ケイ、ナギサ、ハルキ、ミチル、シノブ、ハルヒ、レイ、レン、リン、ミライ、ヒナタ、ユウリ、マコト、マスミ、ミソラ、ハヅキ、カヅキ、ヒロ、ユウ、シュウ、ハル、ナツキとか?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「なあ、谷田部。その言葉を借りると愛し方も千差万別、人それぞれ色々あって良いんだよなあ」
「え? ええ」
「谷田部、それがお前の愛し方か?」
押し黙る谷田部に室長が、固い雰囲気を壊すようにふっと微かに笑い言う。
「勘違いするなよ? 別に責めてる訳じゃねえよ。まるっきり分からねえでもねえしな」
苦悩に満ちた顔で、谷田部は頭を抱えた。
「正直、もう自分でもどうして良いんだか……穂積さんならどうします?」
「俺か? そうだなあ。ひとつだけいつも思ってる事がある。惚れた女の笑顔と幸せを守ってやりてえ。もしも、俺の手元にいなくても。そいつが、どこで誰といようと笑ってて欲しいんだよ。俺はな」
「……苦しく、ないんですか?」
「ふ、そりゃあ、苦しいさ。俺にだって欲求や欲望はあるからな。だが、惚れた女の笑顔を奪うくらいなら、俺が苦しい方がまだ良いんだよ」
『さてと』と室長が腰掛けた遊具から立ち上がり言う。
「谷田部、とりあえず今夜帰ったら髭、剃れ。気持ちはすぐにどうこう出来ないとしても、身なりから元に戻してみろ。どうしても、潰れそうになったら声掛けろ。飲みにくらい付きやってやる。ひとりで飲むよりましだろう。さ、帰るぞ」
室長に促され谷田部が帰って行った。
まさか、室長が現れるとはちょっと驚いた。
(室長の惚れた女、それって……)
その時、オレを探す彼女の声がした。振り向くとエントランスから飛び出して来てキョロキョロとしながら探し走って行く。
「なまえ?」
どうしたのかと名を呼ぶと、『あ! すう!』彼女がオレを見つけて走って来る。
「そんなに慌ててどうした?」
「どうしたって、帰ったら君、居ないし待っても帰って来ないから。もしかしたら、嫌気がさして出て行ったのかと……」
「あ? どこ行くっていうんだよ」
「実家とかぁ?」
「行かねーよ。オレん家はあそこなの」
見上げうちの窓を指す。
「お前と、オレの家だろ。それにオレがお前を置いて黙って出て行くワケねーだろ」
「だって、僕、迷惑ばかり掛けてるからさすがに君もうんざりしたんじゃないかって……」
「バァーカ。心配し過ぎ。うんざりなんてしねーよ。日々可愛い奥さんにますます惚れ込んでるけどな。よし、せっかくだからコンビニまでお散歩デートするか。ほら、お手をどーぞ。姫君」
差し出す手に、彼女が手を重ねる。それをしっかりと指を絡め握る。
「だいたいな、この手も、ぬくもりも、そのくりくりお目めも、何もかもな、お前の全部はオレのもんなの。どっかの誰かが欲しがってもぜってーやんねー。盗られてたまるかよ。必守します。分かったか?」
「ん」
「分かればよろしい。じゃあ、おりこうさんだからご褒美に好きなものを買ってやる。何がいい?」
「アイスとか?」
「アイス? この寒いのに? いいけど、またお腹痛くならねーか? お前は案外胃腸が弱めだからなあ。真冬の夜中にアイスはちょっと心配」
「んーそう言われると心配になって来た」
「じゃあ、アイス以外にしろ」
『んー』と悩む彼女にちょっと笑いながらオレ達はゆっくり夜のお散歩を楽しんだ。