横恋慕。
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定主人公は男装女子なので男でも女でも通用する名前がおすすめ。
例えば、
ユキ、ジュン、アキラ、カオル、ユウキ、ヒカル、チヒロ、ケイ、ナギサ、ハルキ、ミチル、シノブ、ハルヒ、レイ、レン、リン、ミライ、ヒナタ、ユウリ、マコト、マスミ、ミソラ、ハヅキ、カヅキ、ヒロ、ユウ、シュウ、ハル、ナツキとか?
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翌日。
「チビ助、藤守とお使いに行って来てくれるかしら」
説明を聞いた彼女が『ひとりでも大丈夫ですよ』と言ったが『良いの、良いの。藤守、帰りにこれも調達して来てちょうだい』とメモを渡した。藤守が『げっ』と声を漏らす。
「うわー重そうですねぇ」
「そうよ。だからチビ助だけじゃダメなのよ。藤守、領収書忘れるんじゃないわよ。じゃあ、気を付けてね。頼んだわよ」
彼女と藤守がお使いに出ると『昴、ちょっと良い? 荷物持ち、頼まれて』と室長からお呼びが掛かり、倉庫に付き合う事になった。倉庫で、必要な書類を集めながら室長が切り出した。
「で? 少し前から、チビ助に絡みつくようなあの視線はなんなの? 気付いてるんでしょ?」
「あれは、多分、谷田部だと思います」
「え? 谷田部って、あの谷田部?」
「確証はありませんが、おそらくは」
「だって、谷田部にはチビ助が結婚前にはっきり断ったんでしょう?」
「ええ。そう聞いています」
「あの娘は、そんな所で嘘付かないわよ。じゃあ、あっちが諦めが付かないって事か。でも、あれからだいぶ経つ……。ずっとやられてたって訳じゃないわよねえ?」
「この間、外回り中に偶然会ったんですよ。それからです」
「ふぅーん。じゃあ、チビ助の顔を見たら抑えがきかなくなったって所かしらねえ。で、チビ助はなんて言ってるの?」
「話すつもりではいるそうです。追い込んだのは自分のせいでもあるから、これ以上追い込みたくないと」
「ふ、あの娘らしい。優しいのも、とは思うけどあの娘ならそう言うわね。きっと。……エスカレートしないと良いけど」
● ○ ● ○
「はぁあぁぁ」
幾度目のため息だろう。おそらくは、無意識にだろうが。彼女は浮かない顔で考え込んでは、ため息をつく。帰宅中の助手席でも、夕食の時も、そしてソファーでココアを飲んでいる今もずっとこんな調子だ。
部屋の窓から気付かれないようにあいつの場所を確認した。あいつは、今夜もやっぱり居た。近くの公園の木の影。彼女も隣に来てそっとそれを見た。その後暫く考えるような顔をして『よし!』とキッチンへ向かった。
何やらゴソゴソとしているので、声を掛けてみた。
「どうした?」
「おにぎり、作ってる」
「おにぎり? 飯、足んなかったか?」
「ううん。僕達のじゃない」
「……あいつの?」
「ん、うじうじ考えるのは止めた。僕らしく行動する」
彼女はおにぎりをアルミホイールで包みこちらを振り向いた。
「君にも心配ばっか掛けるし、うまく話せるかも今は分かんない。出たとこ勝負。けど、ともかく声掛ける。少なくとも僕が気付いてる事、はっきり分かるでしょ。って事で行って来る」