横恋慕。
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定主人公は男装女子なので男でも女でも通用する名前がおすすめ。
例えば、
ユキ、ジュン、アキラ、カオル、ユウキ、ヒカル、チヒロ、ケイ、ナギサ、ハルキ、ミチル、シノブ、ハルヒ、レイ、レン、リン、ミライ、ヒナタ、ユウリ、マコト、マスミ、ミソラ、ハヅキ、カヅキ、ヒロ、ユウ、シュウ、ハル、ナツキとか?
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「あ、あのおチビちゃん、悪いんだけどこの二人に手料理を食べさせてやってくれない? 昴君、君の奥さん使っちゃって申し訳ないけどお願い出来ないかな?」
(フトシのあのうらめしそうな顔。あれで見られちゃ、いつも余裕の光源氏さまも困るよなあ。食いもんの恨みは、おそろしいつーしな。仕方ねーか)
「なまえが良ければ」
「いいですけど、そんなに期待するほどのは僕には出来ませんよ? みんな優しいからああ言ってくれますけど、昴や明智さんみたいなの無理ですし、本当にフツーのになっちゃいますよ?」
「いや、フツーのがいいよね? な? 二人とも」
「はいっ!」
フトシと細野の顔が輝いた。
「なまえさんよろしくお願いします! 御大、頼んで下さってありがとうございますっ!」
「チビ助ー。お父さんもアンタの手料理食べたいんだけど」
「いいけどぉ。お弁当でも持って来れば良いのかな?」
「ならさ、お父さんと小野瀬で旨い酒を差し入れるから、アンタん家で飲み会しない? いい?」
「その顔は、ダメって言っても来ますよね? 室長」
「あら。娘の旦那は、お父さんの事をよく分かってるわねえ。さすが」
(やっぱ、決定事項かよ。このひとにも、かなわねー)
「じゃあ定時あがり出来そうな時に。チビ助、頼むわね」
オレは『はぁー』とため息を漏らし、飯を続けた。
● ○ ● ○
残業を終えみんなで一階に降りて来る。
「藤守はバイク、明智、如月、小笠原は電車? 終電間に合うわね?」
「はい。お疲れ様でした」
そんな会話で電車組と別れ駐車場に行く。途中、またあの視線を感じる。ここ最近ずっとだ。彼女も気付いてる。視線の方を振り向く。ちょっと眉を寄せた後で、ほんの一瞬だが戸惑いと悲しみが入り混じったような表情になる。オレもだいたいの予想はついている。彼女の表情からの推測だが、たぶんあいつに間違いねーと思う。
この間、その話を切り出そうとしたら、カンの良い彼女は先に口を開いた。
「ごめんね。今はまだ、ちょっと混乱してて。どうしたら一番良いのか、分からないんだ」
「あいつか?」
「おそらく。多分だけどね」
「はっきり言うしかねーだろう」
「それは、分かってる。きちんと話すつもり。ただ、言い方やタイミングもある。なんていうか……。追い込んで、ああいう風にさせてしまったのは僕にも責任があるように思うんだよね」
「は? そんなのお前のせいじゃねーよ」
「甘いかも知れないね。けど……これ以上は追い込みたくない。傷付けたくないの」
「でも、下手な優しさは余計に傷付けるんじゃねーのか?」
「ん。ごめん、君の事も傷付けたくなかったのに。結局、僕は……自分が傷付くのが怖いだけかもな」
そう言って深いため息をついた。
「なあ、やっぱりオレがあいつと話そうか?」
彼女は首を横に振った。
「ううん……。もう少しだけ、待ってて」
追い込まれてるのは、ヤツだけじゃねー。彼女をこれ以上追い込みたくない。オレは、用心しながら様子を見る事にした。あれから数日が経つ。室長も気付いたようで、そちらに視線を向ける。そして彼女に声を掛けた。
「チビ助、平気?」
彼女は『ええ、大丈夫ですよ』と返し無理に微笑んだ。室長は一旦彼女に視線を向けた後で、オレを見て何か言いたそうにした。だが、考えるような表情になり、訊ねては来なかった。再び彼女に視線を戻し、静かに言った。
「そう。でも、アンタにはみんな付いてるからね。忘れないのよ」
「……はい」
室長は、彼女の頭を撫でて『じゃあ、二人とも気を付けて。お疲れ』と手を上げて自分の車へ歩いて行った。