I was praying you'd be here with me.
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定主人公は男装女子なので男でも女でも通用する名前がおすすめ。
例えば、
ユキ、ジュン、アキラ、カオル、ユウキ、ヒカル、チヒロ、ケイ、ナギサ、ハルキ、ミチル、シノブ、ハルヒ、レイ、レン、リン、ミライ、ヒナタ、ユウリ、マコト、マスミ、ミソラ、ハヅキ、カヅキ、ヒロ、ユウ、シュウ、ハル、ナツキとか?
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「如月さん、良いよ。後は僕がその分、やるよ。デートでしょ? 行きなよ。それから、明智さんも。もう帰った方が良いよ。翼ちゃんとくるみがパパサンタの帰り、きっと待ってるよ」
「え? チビ、良いのか? ありがとう! この借りはきっと返すから!」
如月さんはそう言ってみんなにも『すみません、すみません』と繰り返しながらも、すっ飛んで帰って行った。僕は、遠慮する明智さんにも、やいやい言って何とか帰ってもらった。最初は悪いと恐縮してた明智さんだけど、やっぱり早く帰りたかったみたいだ。廊下に出ると急いで駆けて行く足音が聞こえた。
急いで待ってる人の所へ行く二人に、微笑ましいような気持ちと一緒に、羨ましい気持ちも湧いて来る。何だか複雑な心境になりながら、その足音を聞いた。
(僕も、可能ならああやって昴に会いに行きたいな。でも、無理だし。仕方ないの。我慢、我慢)
そう思いながら、敢えて平気な顔で黙々と仕事をこなす。
ふと、視線を感じ顔を上げると室長、小笠原さん、藤守さんが僕を見てた。
(……もしかして、顔に出てた? 心配させてるのかな? いけない……)
僕は『ふふっ』と笑い『なぁに?』と言った。口ごもる藤守さんに『ああ!』と今、気付いたみたいな声を出した。
「そっか、藤守さんもデート? そうなんでしょ? ふふ。良いねぇ。じゃあ、早く行かないと。もしかして、室長と小笠原さんも約束があるの? それなら、行って良いよ? 後少しだし、僕一人でも大丈夫だから。行って、行って。クリスマスだもんねぇ。残業してる場合じゃないよね」
出来るだけ明るく楽しげに振る舞った。
「ええよ。チビ。そんなに無理せんでも」
藤守さんに、優しい声でそう言われて一瞬、グッと込み上げて来そうになって焦った。
「や、やだなぁー。僕、無理なんかしてない。本当に後少しだし。へ、平気だよ」
早口で言いながら、下を向き仕事を再開した。その時室長のスマホが鳴り電話を始めた。
(そんな風に優しいの、反則だ。泣きたくなっちゃうよ。……ダメ、ダメダメ! 堪えろ! 僕。こんな所で泣いたら、みんな、心配しちゃうよ。大丈夫、大丈夫。僕は大丈夫……)
おまじないのように頭の中で繰り返してたら、今度は室長と小笠原さんの声がした。室長はいつの間にか電話を終えたらしい。
「バカねえ。チビ助は」
「本当にね」
やっぱり、二人の声もスゴく優しい声だった。
(困った。返事が出来ない。返事しなきゃ不自然。だけど今、顔を上げたら……声を出したら、きっと泣いちゃうよ)
押し黙った僕。すると室長が、いつもと同じ調子で言った。
「藤守がデートなわけないわ。相手がいないわよ。ねえ? 藤守」
「その言い方、あんまりですやん」
多分……。みんな、全部分かってるのに、気付かないフリしてくれてる。それが、僕にも分かる。
(みんな、本当に優しいんだから……)
潤んで来る目を目立たないようにそっと拭うと、いつもの調子で笑いながら僕もその会話に参加した。
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