愛ゆえに。(H無し√)
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──愛ゆえに。──
式の準備もほぼ整い、久々にみんなが我が家にやって来た。彼女の希望で婚姻届は、オレの誕生日の九月十四日に出す事に決めた。十四日は休日にあたるので、調べたら時間外受付に出す事になり、不備があると当日受理にはならない事もあるらしい。それだと彼女の気持ちを無にする事になる。予め準備して役所に相談に行き、書類内容に不備が無いか見てもらう事にした。
父さんに既に証人欄のサインをもらい、残る一人を室長に頼み今からサインをもらう所だ。
みんながじーっと室長の手元を見つめる。空気が、奇妙に張り詰めている。室長は、書こうとしてピタッと止めた。
「あー! ちょっとアンタ達。固唾を飲んで見つめるの止めなさい。余計に、緊張するじゃないの!」
「えー、室長でも緊張するんですかー」
「何よ? 如月。むしられたいの? そんな風に見られてたら、さすがに緊張もするわよ! それにもう総監にサインもらってるのよ? 私が、失敗する訳には──」
「あー室長? 失敗しても大丈夫だよ? お義父さんに頼んで予備いっぱい書いてもらったから。ほら」
彼女が予備の婚姻届を出す。後、四枚はある。
「え? アンタ、総監に五枚も書かせたの?」
「うん。心配って言ったら『あるだけ出しなさい。こんな頼み、御安い御用だよって』笑って書いてくれたよ」
「総監に……怖いもの知らずって、きっとアンタみたいな子の事ね」
「えー、そりゃお仕事は警視総監だけどさ、プライベートではこれからお義父さんだし、メル友だしぃ……元々『公園のおじちゃん』と『なまえちゃん』って呼び合ってた仲良しだもんねー」
無邪気な子供みたいな顔で、彼女がエッヘンと胸を張る。その様子を見て、小笠原が言った。
「それもスゴい話だよね。何だか、君らしい気もするけど」
みんなが、同意するようにフッと笑う。室長が『さて』と再び婚姻届に向かう。
書こうか、という時に彼女の携帯が鳴り出した。皆からちょっと離れ電話に出る。
「よぅ、ミーコ。どうした? 今? 家。ん? 何だ、お祝い? いや、気持ちだけで良いよ。ふふ……じゃあ、おいでよ。ん、待ってるから気をつけて──あ? 好み? 好みって? タイプ? え?」
彼女がチラッとオレを見て赤くなった。背を向け、ちょっと声を落とし答える。
「そ、そんなの……聞かなくても分かんだろぉ。決まってんじゃん」
更に、声を落としモゴモゴと言う。
「す、昴……」
背を向けてるが、多分その頬は、真っ赤になってる筈だ。彼女の耳が赤くなってた。
「え? 違うよぉ……みたいの、じゃなくて、昴」
ボソボソと言った。
「あ? 聞こえない? だからな、みたいのじゃなくて! 昴が良いの!」
ちょっと大きい声を出した。言ってしまってから、しまったという風に『あ!』と声を上げた。恥ずかしかったようで、後ろ頭をガシガシと掻く。