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「ほら、アンタもやりなさいよ。今日は女の子の節句でしょ。アンタ、主役じゃないの」 室長もきっと落ち込んだのに気付いてたのか、場を上手く変えてくれた。「すんません、昴さん。つい……」 海司がさりげなく隣に来て申し訳なさそうにオレに言った。「もう大丈夫だろ。コブラツイストのおかげだな。痛かったか?」「まあ、多少は……でも穂積さん、実はかなり手加減してくれてたんで、大丈夫ッス。あの人、小声で言ったんスよ。『痛がってギブしろ』って」「へぇー室長がな」「うちの班長もスゲーけど、あの人も大人ッスね」「だな。そうだ。これ、やるよ」 海司に、リボンが掛かった包みを渡す。女の子の節句にふさわしく、薄桃色のオーガンジーの布とラッピングセロファンを使い、可愛いラッピングになっている。なまえが作ったものだ。「なんスか?」「お前が一緒に来たの見てな。なまえがすぐ用意したんだ。結菜姉にお土産だってな。それからタイミングみて早目に帰してあげないと、結菜姉が一人で可哀想だって言ってた。だからお前、それやるからもう帰れ」 そう言って玄関まで見送りに来て靴をはく海司の背に言った。「なぁ、海司。お前はアイツを女らしくないって言うが、オレはそうは思わねー。そりゃ格好や言葉使いは、男みてーだけど。そんな風にさりげなく、細やかに人を思いやる所や、人を包み込む優しさを持ってるなまえを、オレは女らしいと思う。お前にとっては結菜が一番だろ? 同じように、オレにとってはなまえがこの世の誰より、いい女なんだ。だからもうアイツを、他の誰かと比べないでやってくれ」「はい。比べるなんてやっぱ違いますよね。これありがとうございます。じゃあ帰ります! 昴さんとなまえ見てたら、俺もなんか滅茶苦茶結菜に会いたくなりました」「ああ、気を付けて帰れよ」 そう言って海司を見送った。(また、室長に助けられたな。本当、あの人はよく見てやがる……大した男だなー) そう、ひとり何とは無しに思った。
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