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「じゃあねーコブラツイスト」「はぁ? なまえ、何でお前そんなの知ってんだよ? プロレスまで見るようになったのか? 全く、もうガキじゃねーんだから。お前もうちの結菜を見習って少しは女らしくしろよ」「ばっ、よせ!」 オレは慌てて止める。「…………うっさいよ」 とき、既に遅く彼女は少しシュンとしてしまった。 別に結菜が嫌いではないようだが、複雑なものがあるみてーだ。妙に嫉妬したり、劣等感を刺激されるような所があるようなのだ。敏感ゆえに、結菜と比べると落ち込む。そういう負の気持ちは、誰にでもある。だから別にそれを責める気はない。ただ、その後が問題だ。彼女は激しく自己嫌悪に陥り自分を責める。口に出すワケじゃない、平気そうにも振る舞う。だが、内心では一人悶々と自分で自分を責め続ける。内でそんな風にグサグサやってれば、心は疲れてしまう。それが、彼女の瞳に出る。笑っても瞳は作り物のガラス玉みてーになる。オレは、それが心配だ。以前、時間を掛けて原因を探りながら、話を聞き出したことがある。彼女は『どんなに頑張っても……愛されて来た結菜と、愛されなかった自分は、埋めようのない差が歴然とそこにはある』とても寂しそうに、ポツリと溢した。 確かに、結菜は二親揃って無くても、母親や祖母、父親と誰かしら結菜に愛情を注ぐ存在があった。年齢が近いせいもあり比べてしまい易いのかも知れないが……。 以来、結菜を引き合いに出し比べる行為は避けている。海司にも、それとなく口止めしたのだがヤツは結菜にベタ惚れなので、つい出てしまう事がある。自分の発言が、一言余計だった事に気付き『しまった』と微かな声で漏らし頭を掻いた。 ……と室長が海司の後ろから声を掛けた。「あら、秋月? うちの娘はきっとプロレスは、知らないわよ。ただね……」 言葉を区切ると後ろから海司の左足に自分の左足をかけ、自分の左腕を海司の右脇の下に通して首の後ろで巻きつけ、海司の上半身をひねった。「うわぁ、痛てー!」「私がプロレス好きなのよねえ。で、うちのワンコ共が悪い事した時に、こうやっておしおきするのよ。それで、覚えちゃったのよ」「痛てーー! ギ、ギブ、ギブ!」 室長が技を解く。「大袈裟ねえ。いつもの半分位に手加減したのに。ま、いいわ。チビ助ー。お父さんがおしおきしといたから、元気出しなさい。ほら、お父さんにご褒美は?」「へへへ……」 オレから離れると、酒を持って室長に酌をして腕を上げ『お父さんの勝ちー』と勝利宣言をした。
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