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「ヤダ、いきなり何? もー」「おしおき。帰るぞ」「ええー? ダメダメダメー! 一緒に選ぶのー」 子供のように腕を引っ張り足を踏ん張る彼女を、ズルズルと引き摺る。「すぅばぁるぅー! ダメー選んでー!」『ヤダ、ぜってーイ、ヤ、ダ!』と強く言い切ると、彼女は少しの沈黙の後、引っ張ってた腕をパッと離し、俯いたまま低い声で『ふぅーん』と言った。この声は……どうやら、怒らせたみてーだ。彼女が顔をあげると案の定、その顔は無表情だった。 彼女がオレに対して怒る時、先ず無表情になる。腹が立つ時程、人形みてーな顔になる。きっと自分の中にわいた苛立ちを、そのままオレにぶつけて嫌な思いをさせたくねーんだろうと思う。なんとか、怒りを抑え込もうとする。無理するから表情がなくなる。 本当はもっと自然に、ストレートにぶつけて欲しい。すぐには無理でも……少しずつでも、そうなるようにしてやりたい。 そして、彼女は無表情のまま淡々と言った。「分かった。良ーよ。僕、プレゼント探して買い物して、電車で一人で帰る。昴、先に帰ってて」「あ?」「二人からって事にしようと思ったけど……そんなに嫌なら、僕からって事で渡すよ。後からヤキモチ妬いて怒らないでね。じゃ、そういう事で」 踵を返し、振り返らずスタスタ行ってしまう。遠くなる背中を見ながら色々考える。(アレは、かなりマジ怒りだな。……ヤキモチ妬くなだと? 今でさえおもしろくねーのに? ……ああ、でも今のはオレが悪い。仲間を大事にするなまえからしたら、アレはダメだな) 慌てて彼女の後を追う。メンズ向けの階にある店の前、シュンとした顔でプレゼントを探すなまえを見つける。「なまえ、ごめん。悪かった。一緒に選ぼう」 そう言って手を繋ぐと、泣きそうな顔で『うん』と言った。一緒に見て周り、パジャマにした。物は最高に良いはずだ。(オレが一緒に選ぶなら、この位はな)と思いつつ、彼女の意見を聞くと『うん、肌触りも良いし、後藤さんに似合いそう。さすが昴』とにこりとした。機嫌がなおった所で、カフェで彼女の好きそうな生クリームたっぷりのケーキで、お茶をして帰宅した。 今日撮った写真は引き延ばし、三日までには郵送で届くらしい。とりあえず画像データが、先にもらえた。家に帰り早速、フォトスタンドにデータを送る。二人の携帯にも入れて、待ち受けにした。 ● ○ ● ○ そして三月三日、ひな祭りの日。今日は、仕事だったので帰ったら、二人でひな祭りをやる約束をしていた。定時後、速攻で捜査室を出て途中、スーパーに寄った。二人で買い物をして帰り、一緒にキッチンに立つ。彼女は終始、にこにこと楽しそうだった。
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