大雪の中で。
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定主人公は男装女子なので男でも女でも通用する名前がおすすめ。
例えば、
ユキ、ジュン、アキラ、カオル、ユウキ、ヒカル、チヒロ、ケイ、ナギサ、ハルキ、ミチル、シノブ、ハルヒ、レイ、レン、リン、ミライ、ヒナタ、ユウリ、マコト、マスミ、ミソラ、ハヅキ、カヅキ、ヒロ、ユウ、シュウ、ハル、ナツキとか?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
午前零時をまわっても、駅前は結構な人だ。中には子連れまでいる。そういう状況下で後から到着した明智さんも交えて、交通課と手分けして任務に当たる。車を流し、雪かきをする。帰宅困難者が困っていれば相談にのる。怪我人や酔っ払いの保護、喧嘩が始まれば仲裁をする。雪の中、そうこうしながら数時間経つ。
なまえはついさっきから、せっせと雪かきをしている。交通課の婦警と変わってやったのだ。
(もっと肉体労働以外の仕事を、すれば良いのに。ま、アイツらしいけどな。さて、オレもやるか)
スコップを持ち向かおうとするも『お巡りさん』と呼び止められ掴まる。宿泊先がダメになって困っているらしい。小笠原に連絡を取り話してる最中、何か小さな黒いものが車道方面へ動くのを、視野の隅でとらえた。
その瞬間『あっ!』っと聞き慣れた声が耳に響いた。何気なくそちらに視線をやると、なまえが子供を抱えて車の前を走る場面が目に入り、ギョッとする。
少し耳にした野次馬の話と状況から、どうやら寝てる内に親とはぐれた子供が泣きながら、ふらふらと車道へ出た所へ車が来て……今の場面らしい。彼女と子供は、何とか車の前から逃れられた。ホッとしたのもつかの間、彼女はバランスを崩してスコーンとしりもちをついた。深夜になり凍結し始めた雪の上で、勢いが止まらない。そのまま滑って行く。子供を庇いながら、彼女は『わっ、わあー』と叫び道の向こう側の端までツーっと滑って行った。……と、思ったら『うぎゃっ!』と悲鳴を残し忽然と消えた。
近くで呆然と見ていた交通課のヤツに、相談者を手早く引き継ぐ。小笠原に早口で説明し電話を切り、慌てて駆け寄る。室長や他の連中も血相を変えて走って来た。
近寄り見ると、雪かきで集まった雪を積んだ車道脇の山に穴が空いており、子供のギャーギャーと泣く声と『びっくりした? 大丈夫、大丈夫だよー』となだめるなまえの声がする。
「なまえー!」
オレが叫ぶと返事をしてよこした。子供の泣き声に邪魔されながら聞いた話によると、雪の下に雨水を流す道路側溝があり、蓋が空いていたようでそこに落ちたらしい。
「おい、雪どかすぞ! チビ助! 待ってろ。今、引き上げてやるからなっ!」
室長の叫び声で、オレ達は急ぎ雪をどかす。穴を広げつつ中を見ると、大きめの側溝に子供を胸の上に乗せた彼女が見えた。子供を先に救出し病院に搬送。交通課のヤツが親を探した。そういう諸々の事を交通課の連中が引き受けてくれたので、オレ達はまた雪をどかし穴を広げ、今度は彼女を引っ張り出そうとした。が、すぽっとハマっていて抜けない。
「このままじゃ凍死するんじゃない?」
「如月、お前はまたそんな事を──」
「明智さん、大袈裟でも冗談でもないですよ! 北海道では凍死者は結構います。それに雪水が流れてるし、早くしないと。体温が二十五度以下になったら、もう助かりません!」
「た、助からんて、そないなこと……」
「バカ野郎! 助からんじゃねー! ぜってー助けるんだよ! 諦めてたまるかっ!」
思わず、オレが叫ぶと室長が言った。
「そうだ! チビ助、絶対助けてやるからな。がんばるんだぞ。おい、もう一回引っ張ろう。明智、如月、足掴め。昴は頭、俺と藤守は腕。合図したら引っ張れ」
『はい!』返事と共に位置につく。
.