あなたにチョコレート。
夢小説設定
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例えば、
ユキ、ジュン、アキラ、カオル、ユウキ、ヒカル、チヒロ、ケイ、ナギサ、ハルキ、ミチル、シノブ、ハルヒ、レイ、レン、リン、ミライ、ヒナタ、ユウリ、マコト、マスミ、ミソラ、ハヅキ、カヅキ、ヒロ、ユウ、シュウ、ハル、ナツキとか?
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家に帰ると、彼女がキッチンで何かやってる。
「姫、何やってんだ?」
後ろから抱きしめて、彼女越しにひょいっと手元を覗くと、ココアパウダーが見えた。
『お帰りー』ふんわり微笑んでオレを見上げる彼女にチュッと軽く口づける。
「ただいま。ココアパウダー……トリュフ?」
「ブッブー。ラムボールだよ」
「ラムボールか。そっか明日、バレンタインだからな。オレの?」
「ううん、これはみんなの。友チョコ」
「オレの、じゃねーのか……」
拗ねたオレに彼女がクスッと笑い、腕の中でくるっと向きを変えて背伸びをしたので、少し屈むとチュッとキスをくれる。
「ダーリンのは、ちゃんとあるよ。僕の愛が、いっぱーい詰まった甘ーいのが。安心した?」
「明日が楽しみだな。オレ、姫のしか貰わねーからな」
オレの言葉に嬉しそうに微笑む彼女が可愛くて腕の中から出したくなくなる。
「ねぇ、昴。甘くないチョコってこんなかな?」
「甘くない? ああ、室長のか。んーじゃあ、一つ、味見してみる」
「でも、苦いかも、よ? 大丈夫?」
「ん、とりあえず、あーん」
彼女が口に入れてくれたラムボールはビターティストな大人向けな味で、それなり美味しかった。
「んー。旨いけど……室長には甘いかな。中、カステラ?」
「うん、カステラに甘くないココアパウダーにしたけど、まだ甘い? うーん、甘いとダメなんだよねー。どうしよう……」
「じゃあ、カステラ止めて甘さ控えめで、生地焼けば良いんじゃねー?」
「難しいのはなー。僕、そんなにスイーツ作りのスキルないし」
「ここに先生がいるだろ? 教えてやるよ」
「良いの?」
「ああ、良いよ」
彼女の困り顔が一転、パァーと笑顔になる。
本当はこの笑顔だけで充分なんだが、ちょっとからかってみる。
「授業料は後で、たっぷりいただくけどな」
意味が分かり、彼女が赤くなる。はにかむ顔が可愛い。
だが、丁度良かった。狙ったワケじゃねーが、今年も【彼女のチョコレート】を阻止出来た。一緒に作れば【彼女とオレの】手作りで【彼女の】ではない。【彼女のチョコレート】が食えるのは、このオレだけで充分だ。オレ以外の男になんて勿体ねー。そんな事を考え、改めて自分の嫉妬深さに苦笑いする。
隣からクスクス笑う声がして、見れば笑う彼女と目が合う。
「何、百面相してるの? ふふ……ダーリン、もしかしてヤキモチ妬いた?」
「…………」
もうオレの思考はバレバレみてーで、何だか恥ずかしくなり顔が熱くなった。
彼女は、少し赤くなったであろうオレの頬に『可愛い。そんなダーリンも大好き』とキスをして来る。
恥ずかしさが、嬉しさに変わり顔がゆるみそうになる。ニヤけそうな顔を、誤魔化しながら彼女とラムボール作りを始めた。