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「きっとそうですよ。チビは大好きな物は最後に食べるんですから」「ああ、そう言うたらそうやな。最後のお楽しみでな。チビは、好きなもん程、最後に食べるんやったな。……室長。それ取ってしまったら、あかんですやん」「穂積、全くお前は……」 小野瀬さんがこめかみ辺りを押さえ、ため息をつきながら首を振る。 そうなんだ。みんなの言う通り、最後の楽しみに取って置いた一口だったんだ。「昴が……僕の為に……それなのに……室長が……僕の……グシュ……」「え? なっ、ちょっと? チビ助、アンタ、海老位で泣くぅ?」「うへっ……えーーん……昴がせっかくぅー。昴が僕の為にぃー……僕の海老ぃー、室長が盗ったぁ……ひぃーん。室長のばかぁー」「あ、あーあ。よし、よし」 オレもまさか泣くとは思わなかったが、とにかく抱きしめてあやす。みんなが騒ぎ出す。「あーあー、室長が俺達のチビを泣かせたー」「パワハラ。室長にとってはたかが海老でも、彼女にとっては、一柳さんがくれた大事な海老だったんだよ」「穂積ー」「室長ー、子供やないんやから、ダメですやん」 室長が焦った顔でおろおろとしながら『すまん』と謝る。「いや、もうだいぶ飲んだ後なんで……もしかしたら、泣き上戸かもしれないです」 室長に言うと、ポカーンとしながら聞き返された。「あ? 泣き上戸?」「なるほど、酔ってるから理性が働いてないのか」 小野瀬さんが室長の代わりに納得した。「大丈夫、おかわり出来るように、多目に作ったから。まだあるよ。持って来るから、な?」 そう、なだめると『まだある?』とオレを見上げ子供みたいに聞き返す。やっぱり結構酔ってるみたいで頬っぺたが赤い。頬を撫でながら『あるよ』と答え顔を拭いてやると、漸く『昴、ありがとっ!』と笑った。それが、オレには滅茶苦茶可愛かったが、室長は『チッ』と舌打ちした。「泣いたからすがもう笑ってやがる。この、アホの子二号め。心配させやがってえ」 彼女の頬っぺたを[うにょーん]と両側から引っ張った。「い、ひゃーい! はなへー! にゃにほふるぅー! いひゃーいへー!」 文句を言いながら、離そうともがく彼女を室長が笑う。「あはは。ヘンな顔ー」「ほ、ほ、ほにょーぉ!」 彼女も負けじと室長の頬を[うにょーん]とやり返し、二人でわぁーわぁーやり始めた。 もう大丈夫そうなので、その隙にみんなの席を用意し、彼女におかわりを取りに行った。暫くするとちょっとふらふらと覚束無い足取りで彼女がキッチンに来た。顔もさっきより赤い。
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