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「ん、でね。直ぐに、若い娘から結構な年配の女性まで彼に夢中になって行く。女達が『天使みたい』って騒ぐのを横目に学生の女の子は(確かに、何か分からないけど気には、なる。でも……微妙。まあ、みんなが騒ぐのは分かるけど。んー天使ねぇー……そうかなあ。あれは、天使っていうよりも悪魔っぽいよなあ。綺麗だし気にはなるんだけど、ちょっと怖いような、近寄りたくない気もする)って、その女の子だけはみんなとは違う印象を持って出来るだけ近付かないようにしたし、彼についての噂話も聞かないようにした」 そこで彼女はカフェオレを一口飲んで、口を潤してからまた続けた。「その内に、みんなの様子がおかしくなった。ギスギスして女性同士、歪み合いが多くなった。意地悪や嫌がらせをし合うようになっていた。小さなちょっとのどかな街は、一変して居心地の悪い所になっちゃったの」「独占欲……嫉妬か?」「うん、みんなその男を手に入れて独占したくなった。他の人が邪魔になったんだ。その女の子も意地悪されるの。突き付けられる悪意が恐ろしくなってね。極力、目立たないように振る舞う。女の子にはそういう諸々の出来事はあの男が操って引き起こしているように感じて(やっぱり悪魔みたい)と不気味に思う。その男を、なるべく避けて会わないようにした。でも男の家の前の道を通らないと、どこへも行けない」「あー道、ねーんだ?」 そんな風にたまに相槌や質問を交えながら、彼女の話を聞く。「うん。で、こそこそ下を向いて、反対側の道端を急ぎ足で通る。ふと視線を感じて、そちらに目をやると男が家の前でジーっと見てる。ギョッとした時、女の子の前をふらふらと行く影が過った。影は、まるで男に吸い寄せられるみたいに、男の元に向かう。女の子はもう一度、ギョッとしてショックを受ける。その影は、女の子のよく知るひとだった。独り暮らす女の子を気に掛けていつも声を掛けてくれる近所のひとだった。優しくて綺麗なそのひとの、あたたかくて柔らかな笑顔を向けられる度に、女の子は[お母さんみたい]って憧れて慕ってたの。だけど前を通り過ぎたそのひとは、少しの間に変わり果てていつもの面影は無い。女の子の前を通っても気付きもしない。女の子が思わずそのひとの名を呼んでも声も届かず、ただ男の名前をブツブツと口にしながら男の元へ。男は肩を抱いて中へ促すんだけど。そのひとににこりともしなければ、言葉も掛けない。冷たい視線を一度そのひとに向けただけ。それ以外に男の視線は、愕然とショックを受ける女の子を捉えたままだった。中へ入るほんの一瞬、男が片方の口角を上げてにやりとした。ゾッとするようなその笑顔に、女の子は恐怖を感じてガタガタと震え出す……」 彼女は、そこで話すのを止めた。「ん? で、どうなったんだ?」 訊ねるオレに抱き付いて、頬をくっつける彼女。「……分かんない。そこで夢が変わった」「変わった? 別の夢に?」『ん』と言いながらスリスリと甘える彼女。(怖がりだから、無意識に拒絶したのかな……)
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