● ○ ● ○
「Hey, I'm gonna get you too~♪ (おまえもやっつけてやるよ) ……~♪ ……~♪ Are you happy ? Are you satisfied ? (幸せかい? 満足かい?)……~♪ ……~♪ Hey! Oh take it! (辛抱しろ) Bites the dust - bite the dust hey……~~♪ Another one bites the dust, hey hey!」
暫くするとリビングから、歌が聞こえて来た。
覗き見れば、ベッドフォンをして目を閉じて楽曲を聴きながら、ノリノリで歌ってた。
(洋楽だな。何の曲だ?)
その声をよく聞いてみると[QUEENのAnother one bites the dust]だった。また一人おっちんじまうって曲だ。邦題では[地獄へ道連れ]だったか。
何とも、年賀状と合わない彼女の選曲にちょっと笑った。
「Another one bites the dust~♪ Shoot out!! ……ぇえぇ……おーーぅらぃぃ(Hey, alright)」
(あー、こりゃーストレスたまったんだな。来年は宛名も業者に頼むか……)
彼女はストレス発散を試みる時、好きな事をする。バイクだったり、酒だったり、こうして好きな曲を聴いてみたり……する。曲で発散の場合ハードになれば、なる程ストレスの度合いが強い傾向にある。
歌い終わり少しスッキリした顔でベッドフォンを外し、オレが見ていた事に漸く気付きポンッと音が出そうな勢いで赤くなった。
「プッ、クックク……歌姫さん、レアチーズケーキはいかがですか? 旨いぞー。ちょっと疲れたろ? そろそろ休憩しようぜ」
「えへへ……うん」
バツが悪そうに、笑い頷く彼女とお茶にした。
「美味しい~♪」
にこにこしながら、スプーンをくわえる。微笑み頭を撫でてやるときゅーっと気持ち良い時にやる猫の顔になった。
「お前が気にするから、それは豆腐を使ってカロリーオフにしてあるからな。安心して食えよ」
「こんなに美味しいのにカロリーオフか? はう。幸せだ~♪」
本当に幸せそうにケーキを食べる彼女を見ながら、暫しリラックスした時間を過ごす。