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「彼女、父親と確か兄がいたと思ったが、ダメか?」「ああ。石神が言う通りいるにはいるが……。兄貴は、なまえの存在を無いものみたいに無視しててな、話にならねーんだ。父親も会っては来たが認知症が進んで、なまえが分からない。それどころかあいつを、母親と勘違いしてひどい事をべらべら言い出す有り様だ。あれじゃ、なまえが傷付く。とてもじゃねーけど、呼べる状態じゃなかった。とにかく、当日寂しくさせたくねーし、なんかあいつの喜ぶ事でも出来ねーかと思ってな」「それなら、希望通りの演出で喜んでもらいたいですね。うーん少ないながらもうまく出来ないですかねぇ。一柳警部補、お二人の写真もう一度拝見させてもらえませんか?」「ああ、それは構わねーが。忙しいのに悪りーな」「いえ、写真の事ならこの黒澤、黙っている訳には行きませんから。ところで他の演出はお決まりなんですか?」「今、考えてるのはシャボン玉入場とルミファンタジアかビールサーブをやろうかと。ビールサーブはウケが良さそうなんだが、ルミファンタジア、なまえに似合いそうかなと思うんだよな」 想像してちょっとニヤけそうになる。「なんだ、そのルミファンタジアっていうのは?」「後藤さん、見た事ないですか? 光の演出です。二種類の液体を混ぜることによって起こる科学反応を利用するそうですよ。透明な液体をもう一つの液体が入ったところに入れると、色が変化して発色するんです。シャンパンタワーみたいにやったり、各テーブルに置いてキャンドルサービスの変わりにやったりするらしいです。綺麗ですよ。その時になまえちゃんを撮ったら、幻想的で良い写真が撮れそうだな。でも、ビールサーブも楽しそうですね」「そうなんだが、色々とな。ケーキやクッキーを配るとかもあるけど『お父さん、甘いの嫌いだからダメだ。ビールは小野瀬さんがダメだし』ってなまえが気にしてな」「なら、フォトサービスはどうです? 友人の披露宴でありましたよ。テーブルを回って招待客と写真を撮るんです。ただ時間がそれなりにとられますけど」「んーでも、チェキもやるしなー。まあ、オレはなまえが楽しめれば、どんな演出でも良いんだけどな。あ、そうだ。写真と言えば、黒澤、シャボン玉入場の時になまえの写真、忘れずに撮ってくれ。お前一人で忙しいか? なんならプロにも頼めるが」 それから、少し打ち合わせをした。黒澤は『演出のアイデアを思いついたらご連絡します』と張り切っていた。 二次会は藤守を中心にそらと如月が担当してくれる事になった。 とりあえず、着々と準備は進んでる。(彼女にとっての[愛と幸せが詰まった日]をオレも彼女にあげたい。この前、彼女がくれた少し早い誕生日プレゼントでオレが感じた気持ちを、彼女にも分けてやりたいんだ) あのビデオの中の母さんみたいな、幸せな笑顔の彼女を思い浮かべる。何だか彼女が恋しくなってスマホを取り出し『帰るよ』とコールする。『待ってる』と彼女の声。スマホをしまうと、駆け出したい気分を抑え足を早めた──。──愛と幸せが詰まった日。──End.
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