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「忙しい所すまないが、彼女、みんなに来てもらうのを本当に楽しみにしてるんだ。当日出席、よろしく頼む」 頭を下げながら(オレも変わったな)と自分で思う。でも、あいつの笑顔が見られるなら、頭位幾らでも下げられる。「大丈夫だ。私も後藤も黒澤もスケジュールは空けてある。是非出席させてもらう」 石神が、言うと後藤と黒澤が頷いた。「一柳、準備は進んでいるのか? 何か手伝いがいるなら言え」 後藤が進展具合を気に掛けると、黒澤が聞いて来た。「受付は決まったんですか?」「いや、一応なまえの友人が一人やってくれるのは、決まったんだが、後はまだだ。チェキを──」「チェキ?」 後藤が知らないのか、言葉を被せて来る。「……ああ、チェキつーのはインスタントカメラだ。招待客にチェキで写真を撮ってもらって、メッセージを書いて貰おうと思ってるからチェキ係もいるんだ」「じゃあ、チェキ係は俺やりましょうか? 受付は……石神さんか後藤さんにお願いしたらどうですか?」「でも親父絡みの警察関係者も多少来るんだ。警視が受付は……ちょっとアレだろ。お前も記録係と両方じゃ大変だ」「受付か、私は構わないが?」「いや、石神さんにそんな事は……。俺がやる」「後藤、お前金の管理は大丈夫だよな?」「何っ?!」 後藤が目をつり上げる。(いかん、ここに彼女がいたら確実に『昴、失礼だよ!』と怒られてる。今一瞬、彼女の怒る声が聞こえた気がした……)「いや、すまねー。つい」「大丈夫ですよ。一柳警部補。こう見えてやるときはやる人ですから。バッチリ決めてくれると思いますよ」「黒澤、お前はいつも一言余計だ」 後藤も石神もやると言う。結局、受付を後藤に頼み、チェキ係を石神にお願いした。一段落ついた所で黒澤が『ところで』と切り出した。「ところで一柳警部補、何をお悩みで? まさか、マリッジブルー?」「一柳がか?」 石神と後藤が驚いたようにハモる。「あ、もしかして、なまえちゃんがマリッジブルーで結婚がイヤになって揉めてるとか?」「いやいやいや、そんな事はねーから。二人共楽しみにしてるよ」「じゃあ、何です? 何かありますよね? さっき、一柳警部補に憂いを感じました」(こいつ、意外に鋭でーな。ま、聞いてみるか)「実はな、前になまえの友人の結婚式に出た時に、お色直し中に幼い頃からの映像を流す演出があってな。あいつ、それを羨ましそうな顔で見てたんだよ。やってやりたくてもあいつの場合、そういうのがねーだろ? 昔の写真は、海司がくれたアルバムとお前達がくれたばあちゃんの写真しかねーし。ばあちゃんのあの写真は使えるにしても、他はなー……。式もな、考えたらオレの方ばっかりで、あいつの肉親は誰も来ないんだよな」
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