ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
次に始まった時には三人で映ってた。「おーい、ご機嫌はどうだい?」「パパー。僕は、午後もご機嫌良くおりこうでちたよー」「ご機嫌だったんだ?」「とっても。おっぱいも沢山飲んだわ」「へぇー。そうなのか、えらいな」 そう言って頬を指で撫でる。「あ! 口をあけて、指をくわえようとしてる」「おっぱいを探してるんですって。何とか反射とかって、看護師さんが言ってたわ」 父さんが『へぇー』となるほどという顔になる。母さんが、そんな父さんに呼び掛ける。「ねぇねぇ、隆一さん。ちょっと指でこの子のお手て、手のひらを触ってみて」「ん? こうかい? わっ! 握った……驚いたな。しっかりギュッと握ってる」「ねぇ、なんか嬉しくない?」「ああ、結構、力あるんだな。生まれたばかりなのに、すごいな」「ふふ……隆一さん、顔がニヤけてる」「あ、ああ、やっぱり可愛くてな。さっき新生児室を覗いて来たんだ。親バカかも知れないが、うちの子が一番可愛かったよ。この小さな手……君の言う通り、握られると嬉しくなって来るな」「うふふ。そうよね。ところで隆一さん、いなかったのって、その三脚を買いに行ってたの?」「ああ、そうだよ。三脚があれば、みんなで撮れるだろう」「お仕事は?」「ん? 今日は休暇をもらった」「あら、隆一さんがお休みをいただくなんて、珍しいわねぇ」「私だって今日位は、一緒にいたいさ。本当は君とこの子と、ずっといたい位なんだよ。……ところで、名前なんだが[昴]はどうだい?」「昴……良いわね! 昴ーぅ。貴方は、今日から昴ちゃんですって。ふふ、良かったわねぇ。お父さんに良いお名前もらって。そうだ、昴ちゃんに、一緒にちゅうしない? 隆一さんはそっちの頬っぺ。私はこっち。ね? 記念に」 母さんにせがまれ、父さんは照れながら、オレの右頬に、母さんが左頬に、二人でキスをした。 そこに映る両親は、とても幸せそうだった。 ● ○ ● ○ 場面が変わり、最近の父さんが映る。「じゃあ、お義父さん。お願いします」 彼女の声がして、父さんがオレが生まれた時の話を始めた。聞いた事がない話もあった。彼女の話の引き出し方がうまいのか、オレの知らない父さんの気持ちなんかも、話す内にポロポロと溢れ出た。「そうだ。ビデオは見つかったかい?」「あ、はいっ! 楓さんのお宅にあるそうです。この後、伺って受け取りに行きます。ダビングしたらお返しに上がりますね。大事なものですから。では、最後にお義父さん、昴にメッセージをどうぞ」「昴、君は幸せだな──」 その言葉から始まって、父さんからメッセージが入っていた。その次はお祖父さんと楓さんが映った。オレが生まれた時の想い出話とメッセージが収められていた。 見ながら、目頭が熱くなった。泣かないよう堪えてると彼女が隣に来て、そっとオレの頭を引き寄せ胸に抱いた。そして、背中を優しくトントンと叩いた。
このサイトの読者登録を行います。 読者登録すると、このユーザーの更新履歴に新しい投稿があったとき、登録したアドレスにメールで通知が送られます。