ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
みんな少しの間、彼女を見てそれぞれに何かを考えるように黙る。 室長が手酌で酒を注ぎくいっとまた呷った。グラスを空にすると、場の雰囲気を変えるようにいつもの口調に戻りみんなに言った。「そうねえ。この手の掛かるアホチビを守るには……全員が、元気でいるしかないわね。みんな、チビ助の為にも今まで以上に、より一層気を付けて任務にあたってちょうだい」 みんなで頷く。室長は続けた。「それに、チビ助以外にだって心配する家族や仲間が、みんなにもいるでしょう。自分自身とその人達の為にも私達は十分、注意しましょう」 またみんなで頷いた。室長がオレに言う。「昴、チビ助が起きたら今の、ちゃんと伝えて置いて。お前も自分を大事にして、気を引き締めて任務にあたりなさいって。室長……いや、お父さんからの命令だって」『はい』と返事をして彼女を膝に抱えたまま、その後もみんなと飲んだ。 やがて眠る彼女を気に掛けながらも、みんなが『そろそろ引き上げるか』と腰を上げた。 ● ○ ● ○ 室長に合鍵を預けて部屋でみんなを見送った。彼女を離す気にはなれずに、抱いたままソファーに異動した。 だいぶ、飲んだ彼女は多少の事では目を覚まさなかった。それ程よく寝ているのに、オレの服を握りしめた手は離す事なく、しっかり掴まれたままだった。 それを見ながらオレは思っていた。(失敗した。大した事ない傷といっても。なまえを傷付けちまった。身体に傷を負わなくても、これじゃダメだ。オレは、なまえの心も守りてーんだから)「……すば……る、や……だ」 彼女の声がして、顔を覗き込んでみると眉間にシワを寄せうなされている。彼女を起こし声を掛けた。目を覚ました彼女は瞳を潤ませて、確かめるみたいにオレにしがみついた。「大丈夫、大丈夫だ。どこにも行かねーから」 シャツを掴んだ指が白くなる程、必死にしがみつく彼女。 それが、あんまり必死で……。オレは思わず、彼女をぎゅっと抱きしめた。「……やだ。昴がいなくなるなんてやだ。ねぇ? 生きるのが一緒なら、死ぬのも一緒じゃないの? もし違うって言ってもさ……もう僕、一人なんて無理。もう、戻れないよ。昴がいなくちゃ、そんなにがんばれないよっ! 昴と生きる事、知っちゃったのにさ……。今さらそんなの、残酷過ぎ。約束したろ? 昴は、僕より長生きすんだよ! 無茶でも何でも。十分でも、五分でも、良いから……絶対、お前は、僕より長生きするのっ! ……頼むよ……本当……頼むよ……」 オレの腕の中で哀願するようにそう言った。彼女は、震えてた。
このサイトの読者登録を行います。 読者登録すると、このユーザーの更新履歴に新しい投稿があったとき、登録したアドレスにメールで通知が送られます。