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──天の川を越えて。──「ささのはさーらさらーのーきばーにゆれるーぅ♪ あーあ、お天気イマイチだねぇ。星見えない」「だなー。はい、出来上がり」「昴、ありがとう」「どういたしまして。でも去年の浴衣で良かったのか?」「うん! だって、この金魚とユリの浴衣、好きだもん。あ、もしかして流行とかあんの? ……おかしいとか?」「いや、おかしくねーよ。滅茶苦茶可愛い」「えへっ」 そこで『ごほんっ!』と咳払いが聞こえ『あーそこのバカップル。支度が出来たなら行くわよ?』と室長の声が掛かる。『はぁーい』と返事をする彼女とお着替えコーナーから出る。すぐに如月が『うわぁー可愛い!』と寄って来た。それを皮切りに、メンバーが可愛いと彼女を囲む。照れる彼女の頬が桃色に染まり、本当に可愛い。(危ねー)と思い引き寄せる。そんなオレ達に室長が『行くわよー』と一声。それを受け『はーい』とみんなで捜査室を後にした。 ● ○ ● ○ オレ達は、暑気払い第一弾として、浴衣姿で七夕祭を見に来ていた。七夕祭りは、想像以上の盛況ぶりで結構な人だ。彼女とはぐれないように手を繋ぐ。混雑に小笠原が後ろでたじろぐ。『大丈夫?』と心配する彼女に藤守と明智さんが頷く。「大丈夫や。任せとき」「チビは大丈夫か?」 二人から声が掛かり『んー……』と言い掛けた彼女に室長が、手を出した。「ほら」「ん?」「そっち、もう片方、お父さんと繋ぎましょ。予想以上に混んでるし、危ないわ。それにアンタ、そそっかしいから下駄じゃ転ぶかも──あっ」 言ってる側から彼女がコケそうになる。ガシッと手を掴み、少し呆れ気味に室長が言う。「ほら、言ってる側からこれだもの。何よ? 大丈夫よ。取って食いやしないから。そんな事より……昴、そっち、ちゃんとガードしなさいよ。痴漢とかいるかも知れないから、気を付けないと」(確かに、この可愛さは目立つし危ねー) 結局、オレと室長とで彼女を両側から挟み、三人で並んで七夕飾りを見て歩いた。 彼女はにこにこと笑顔を輝かせて、楽し気だった。「あー、もうダメ……」 後ろから小笠原の死にそうな声が聞こえて来る。「じゃあ、そろそろメイン行くか」 室長がウキウキした声を出した。「えー? これがメインじゃないのぉ?」「何、言ってるのよ。チビ助、メインはやっぱり[飲み]でしょ。夏の暑い中、喉を潤すキンキンに冷えた冷たい生ビール。ゴクゴク、プハーッ! よ? ……旨いわよー?」 その言葉に彼女が連想して“ごくっ”と喉を鳴らし言った。「ゴクゴク、プハーッ!? 確かに、旨そう! あースッゴく喉渇いたー! 生ビール、飲みたい。ああー、生ビールが僕を呼んでるぅー! 行こ、行こ。早く行こー。ね?」 本当に目をキラキラと輝かせる彼女に、オレ達は笑ってしまった。 楽しい雰囲気のまま、みんなで予約したビヤハウスへ向かった。 ● ○ ● ○ 彼女と室長は大喜びで、生ビールに喉を潤した。生ビール、地ビールに、サワーに日本酒……止まる事を知らず飲み捲った。後から小野瀬さんが来た時には苺みたいに頬を染めすっかり出来上がった彼女。案の定、猫のように気紛れで妖艶な色気を出し始めて、オレを見つめる。彼女の浴衣が乱れないように、そして他の野郎共に手を出されないように、ハラハラしながらガードする事になったのは、言うまでもない。そんな手の掛かる彼女に『しょーがねーなー』と溢しつつも顔が綻ぶのは『昴ぅ、僕がもし織姫だったら~僕の彦星は昴ぅ~。そしたら~僕はぁ、愛のちからでぇ、天の川なんか毎日、越えてやるぅ~明日も明後日もぉ、ずっと一緒~!』と彼女が抱き付くのも、甘く見つめるのも、オレだけだからだ。『もー見せつけやがって』とみんなにぶぅーぶぅー言われながらも、嬉しくてこの可愛いオレの織姫を早く我が家に連れて帰りたくて仕方なかった──。──天の川を越えて。──End.
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