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公園から出て、店に向かう。道の脇には、桜が植樹されている。ライトアップされた歩道には、他に人影が無くて公園より静かだった。 そんな静かで美しい桜並木を、彼女と手を繋いでゆっくりと歩く。「今年の桜も、綺麗だねぇ」「ああ、綺麗だな」「昴、優しいな」「ん?」「僕が忙しそうだから、連れ出してくれたんでしょ。こんなに綺麗な桜を、優しくてかっこいい大好きな人と、また見られて僕、嬉しい」 桜をバックに微笑む彼女が綺麗で、思わず足を止め見惚れる。自然に言葉が溢れ落ちた。「……綺麗、だな」「うん、満開で綺麗だよね」「ああ、……でも今のは、オレの姫の事を言ったんだけど?」 そう口にすると、みるみる内に頬っぺたがピンク色になり彼女は、照れて桜の方に視線を向けた。そんな彼女にクスリと小さく笑い、オレも桜に目をやる。「桜、今年も一緒に見られたな」「うん。ねぇ……昴」「ん?」「……ありがとう」「何?」「いつも傍にいてくれて、ありがとう。僕、昴のおかげで本当に幸せなの。前はね、世の中は僕には、ちょっと生き難くて……。頑張ってないとすぐに足元から崩れてしまいそうで、頑張らなきゃって思う気持ちと、もう何もかも崩れて終わってしまえば良いと思う気持ち。そんな狭間で、ずっと生きて来た気がするんだ」 彼女は桜に目をやったまま、ぽつりぽつりと言葉を落とした。「でもね……昴と、出会ってから僕の世界は色がついたみたいに、キラキラ輝いて楽しくてさ。……今は、終わって欲しくない。ずっと続いて欲しい。ずっと一緒にいたい……」「なまえ……。ずっと傍にいてやるよ。だから安心しろ。オレはお前を、ひとりぼっちになんかしねえよ」 握る手にきゅっと力を込めた。「なぁ、お前はさ、一本気な所があるだろ? それは、お前の良さだが……。勝手に勘違いして、思い込んで暴走する事もあるよな。いっぱいいっぱいになると、尚更な」「ん……」「もしも、不安になったり、僕じゃダメだーって思う事があったら、先ずオレに言え。それがオレに不都合な事でも、ちゃんと言え。何か行動を起こす前にな、良いか? 約束」 微妙な顔で、返事をしない。「でも……傷つける事は言いたくないもん」「暴走の果てに、どっかにぶっ飛んで消えられるより、ずっと良いんだよ」 片眉を上げ彼女を見ると、申し訳なさそうに肩をすくめた。そんな彼女のおでこを、フッと笑いながら軽くコツンとする。「あのな、オレはもうお前じゃねーと、しっくり来ねぇんだよ。だから約束しろ。分かった?」 彼女がコクンと頷いたので、小指と小指を絡め指切りをする。「よし、約束したぞ。良いか、もしお前がどっかにぶっ飛んで雲隠れしても必ず、捕まえるから。オレは優秀な刑事だからな、逃げられると思うなよ」 ちょっと笑いながら言うと、彼女は素直に『うん』と返事をする。
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