ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
──花明かりの下で、密やかに君と交わす口づけ。── 桜が満開の四月初旬。残業続きの年度末も、無事乗り越えた。 今日はなまえのリクエストでもある、お花見の日だ。メンバーはいつもの連中。横分けコンビ──特にパジャマは、正直邪魔だ、が……。 下手にそれを口にすれば、きっと小悪魔なハニーが、オレをまたからかい始めるに違いない。 にまにましながら彼女はこう言うだろう。と、いうか言われた事がある。『意識しちゃってぇ。本当後藤さんの事、愛しちゃってるのねぇ。でも僕がいるのに、浮気はダーメ』それに、オレが『パジャマとなんて、気持ちの悪いことこの上ない! ありえねー! 考えたくもないっ!』と反論したら『フフ……ムキになって怪しいー』そう、ますますからかわれた。なので、口に出さない事にしている。「さあ、定時だしそろそろ行きましょうか?」 室長の言葉に待ってましたとばかりに皆が、荷物を持ち準備万端整える。 大人数分の料理は結構な荷物だが、荷物持ちは大勢いるので問題はない。 オレ達は、捜査中邪魔になるのであまり鞄を持たない。必要最低限のものは、スーツのポケットに入れる。それは彼女も同じで、普段あまりごちゃごちゃ荷物を持たない。 その彼女がディバッグやら巾着やら持つのを目にして、如月が珍しいという様子で声を掛ける。「あれー? チビ、何だよ。その大きい巾着」「ん? これはみんなにもらった例のサーバーだよ。近くのコンビニで氷買わなきゃ」「なんや、巾着なんかついてたんか?」「ついてないよ。今後の事も考えて作った」「チビは、裁縫が壊滅的に出来なかったろう? 昴に作ってもらったのか?」「うー明智さん、それグサッと来るよ? 僕が縫ったの」「その割には、絆創膏貼ってないじゃない? アンタ、前に昴のネクタイかなんか作った時は、指全部に絆創膏貼ってすごかったじゃない」「室長それは言わないで。今回は針、刺さなかったの!」「上達したの?」「そうそう、小笠原さんそれだよ、上達したのだ。えっへん」 おどける彼女を横目に如月が巾着をじっくり観察し始めた。「けど、よく見ると縫い目が……」「あー! そ、そんなにじっと見ないでよぉ。もー」 赤くなり焦る彼女に、藤守がフォローを入れる。「良く出来てるやん。うさぎさんに、くまさんの刺繍までしてあって可愛いで」「確かに、刺繍は上達したな。上手く出来てる」「良かったな、明智師匠に褒められたぞ。苦手でも、頑張った甲斐があったな」 オレが頭を撫でると目を細めて猫みたいな顔になる。嬉しいらしい。「アンタの、そういう苦手な事も頑張る所、えらいわよ」 明智さんや室長に、褒められてますます嬉しそうに笑う彼女。「ほんなら、それはお兄ちゃんが持ったろ。あ、そのディバッグも貸しぃ」「え? 他の荷物もあるのに、重くない?」「他の荷物はな、如月も持つさかい大丈夫や。ほな、行こか」「でも、小野瀬さんがまだ──あ、来た」 噂をすれば、なんとやらで小野瀬さんが捜査室にやって来た。「ごめん、ごめん、遅れた?」「あら小野瀬、良い所に来たわね。はい、これ持って」「穂積、お前は早速俺を、荷物持ちにさせる気?」「あ、僕が持ちますよ」「え? ハッハハ……おチビちゃんありがとう。でも女の子に、荷物持ちはさせられないな。一応、俺も男なんでね」「そうよ。男がこんなにいるんだから、アンタは手ぶらで行けば良いわよ。さ、行きましょう。黒澤が場所、取って置いてくれてる筈だから」 みんなでガヤガヤと捜査室をあとにした。
このサイトの読者登録を行います。 読者登録すると、このユーザーの更新履歴に新しい投稿があったとき、登録したアドレスにメールで通知が送られます。