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「だけど、おバカねえ。チビ助は。【一柳さん】なんて、今さら慣れたら困るのアンタでしょう?」「困るぅ?」「だってチビ、お前も[一柳]になるんだろう?」 明智さんに言われて、やっと室長の言葉を理解する。「なるほど。そっか……僕も【一柳さん】になるんだ」「なんやその慣れてない感じが、初々しくてええねぇ」「チビ、来年には銀行や病院とかで『一柳さんーー』って呼ばれるんだな」 その言葉に頬を染め、もじもじし始める。 でも、心なしか口元がニヤけてる。「アレは、何? 照れくさいの? それとも、嬉しいの?」「そういえば『嬉し恥ずかしって感じ』だと、結婚当初にうちのが、言ってたな」「ふぅーん。そうなんだ……」 明智さんの言葉に小笠原と共に納得し頷く。「……新婚当初か、新生活で感じる女性特有の心理なのかな?」 小笠原が興味深そうに彼女を眺めてからオレに聞いて来る。「一柳さんはそういう心理の動き、ないの?」 『一柳さんーー、一柳さんーー』と如月にかわかわれ、赤くなる彼女を眺めたままオレは答える。「んー、どうだろーな。名前がどうこうとは関係ねーが。彼女の、ああいうの見てるとオレもやっぱり嬉しいような、それから……なんとなく少し、気恥ずかしいような気になるな」「へぇー明智さんも、そんな心境だったの?」「まぁ、な。小笠原も結婚すれば分かるさ」「誰かといつも一緒なんて疲れそうだ」「そう思うか? 小笠原。ところが案外、そうでもない」 明智さんの言葉に、ちょっと分からないという顔の小笠原。「オレも昔は《疲れそう、面倒くせー》って思ってた。まぁ、自分以外の人間と暮らすんだ。色々とあるだろうし、そう思うよな。でも、実際はマイナスばかりじゃなかった。つーか、プラスのが多いかも知れねー。癒されたり活力もらったり、いろんなもんもらってる。惚れた女と暮らすのって、そんなに悪いもんでもねーぞ」「それ、良い相手に恵まれただけじゃないの? 一柳さんも、明智さんも」「小笠原も、良い相手見つければいいじゃないか」「だな。どこで、いつ会うか分からねーぞ? オレなんかここの廊下だった」「ああ、そうだったな」「一柳さんが、彼女を覗き男と間違えたんだ」 『懐かしいな』と三人で思い出し笑う。
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