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アニメを一緒に見始めると、彼女はすぐに夢中になった。 彼女は案外、恋愛ものが好きだ。これも高校生の恋愛もののアニメ。この原作の漫画が彼女は好きで、暇があるとソファーでゴロゴロしながら読んでいる。 オレはアニメを見ながら、この前の事を思い出していた。 ソファーで、彼女がオレに凭れ、漫画を読んでいる。読みながら、彼女がふと言った。「高校の時、こんなの無縁だったなー。不良とか思われて怖がられてたから、友達もいなかったし」「国枝は?」「国は、学校違うもん」「学生ん時に、同じ学校に昴がいたら、こういう胸キュンな恋愛出来たのかなぁ」「ん?」「あ、でも相手にされなかったかもなあ。昴なら、モテモテだろうし。気付いてももらえなかったら悲しーな。やっぱあの頃、出会うんじゃなくて良かったかな」「そうか? オレはもし学生の頃に会っても、やっぱり胸キュンでラブラブだったと思うけど?」「そうかな? ねぇ?」「ああ、きっとそうだ」 あの時、オレがああ返事をしたら、スゲー嬉しそうな顔したな。なんとなく、オレは学生服姿で今よりも少し若いオレ達が二人、手を繋ぎ笑いながら歩く所を想像した。それも楽しそうだなと思う。 でも── コロコロと表情を変える彼女とテレビを見てる今も、楽しくて幸せだから充分だ。「う゛ーっ!」 彼女ががらがら声を出す。「あーお前、テレビ見て怒んな怒んな。ふふ……興奮し過ぎると熱上がるぞ。声も無理に出さないの。お前、こういうキャラとか展開、苦手だろ?」 ブンブンと首を縦に振る彼女にクスッと笑う。「そう言えば、この漫画の続き買ってねーな? 出てないのか? っていうか、この家に来てから新しい漫画、買ってないだろ? 何で?」 がらがら声で『散らかる』と言う。「もしかして、物が増えて散らかすとオレに悪いと思った?」 頷く彼女。「バァーカ。何、遠慮してんだよ。ここはもうオレとお前の家だろ。道理で同じ本ばっか読んでると思った。風邪治ったら買いに行くぞ。お前はさ、ヘンに気使うよな。そういう気は使わなくて良ーんだ。分かった? よろしい。じゃご褒美に良いものをやる。あーんしろ」 彼女の口にキャンディを入れる。彼女がふっと笑う。『美味しい?』と聞くと頷く彼女。「他にも色んな味が、あるぞ。はい、どーぞ」 可愛いガラス瓶に入ったキャンディを渡してやる。丸い、色とりどりのキャンディを眺めて、嬉しそうに微笑む。明かりにかざしたりしながらひとしきり眺めると、蓋を開けて濃いピンク色のキャンディを取り出して、オレの口の前に持って来てあーんしろと自分の口を開けて見せる。
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