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──She's So Delicate (改訂版)── それは些細な日常の会話から始まった。どうも、彼女がご機嫌斜めだった。「どうした? 今日は随分、突っ掛かって来るな。何かあった?」「昴、結菜姉ちゃんの事、好きなんだろ……」「あ? オレが? 結菜は人のつーか、海司の女房だろうが……」「感情の問題だけの好きとか嫌いに、人の女房かどうかは関係無い」「そりゃあそうだが。オレの好きな女はなまえ、お前だぞ。何でいきなり?」 彼女が唇を尖らせる。「……分かるもん。異動して来た頃なんか、絶対好きだったろ。僕はそういうカン良いんだもん。明智さん家で見たもん。昔の広報。昴、インタビュー受けてさ。好きなタイプはフェミニンな子って答えてた」「あ? そんな事言ったかなー」(んー確かに何となく記憶がある……。あれ、かなり前だぞ。今頃出て来るとはなぁ) などと、とぼけながら考えるオレに、彼女が紙をバンッとテーブルに置いた。「ほら、これ! カラーコピーしてもらって来た」 ちょっと参った。(それは昔の、なまえに会う前の事だろう──でも、今それを言うワケにも行かねー。こんだけご機嫌斜めだと薮蛇なんて事にも、成り兼ねない。第一、今なまえに言ってもなあ。聞く余裕ねーだろうな)「あー、これ懐かしいな。ずいぶん前のだ。ハッハハ……オレ、わっけー」 仕方なく誤魔化してみる。「あー、ごまかそうとしてるぅ! やっぱりまだ好きなの!?」 彼女はますます膨れた。困った。「おいおい。何、言ってんだよ」「フェミニンって、結菜姉ちゃんみたいのだもん。僕みたいのはボーイッシュ、あるいはマニッシュ。僕と対極……」(あーうるうるして泣きそうだ。何とかしねーと)「だーから、オレの好きなのはなまえだ」「無理しなくてもいー。僕、フェミニンのカケラも無いもんね」 グシッっと聞こえ、とうとう彼女が泣き出した。(あー泣き出したよ……弱ったな。こいつ普段、強がってるけど実は繊細で傷付きやすいんだよなー。もう明智さん、何を見せてくれちゃってんだよぉー!)「それに昴、結菜姉ちゃんの名前、呼び捨てだもん」(そう来たか……)「いや、呼び捨てに別に意味ねーから。なんとなくだよ?」「無理すんな。本当は結菜姉ちゃんみたいのが好きなんでしょ? 好みなんか、そうそう変るもんじゃない。フェミニンか……。いーよ。女装みたいになるかも知れないけど、ウィッグ付けて結菜姉ちゃんの真似してやる! 海司兄ちゃんから、盗る訳にもいかないもんね!」「おい、誤解だって」 彼女は、すっかりイジケてしまった。
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