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ギクッとした。やぶ蛇だった。蘭子の事、思い出したようで彼女は唇を尖らせた。「そうか、そうか。忘れてた。このイケメン様は極上だから、何でもあり得るんだった。外見も中身も、元カノ様まで、何もかも普通とは、格が違うんだった。それでよく僕が選ばれたよなあ。ありがたや、ありがたや……チェッ」 珍しくチクチクと言って唇を尖らしたまま、更に頬をプゥーと膨らませた。 マズイと思った時には遅く、地雷を踏んでしまった。日頃和ませ役の彼女が、そんな調子なのでみんなも困った様子だ。場の空気がどよりと重くなった気がした。 ──と、室長が“ペチッ”と彼女のおでこを、叩いた。「何よ。チビ助らしくないわねえ。西島が結婚だからって、八つ当たりしないのよ。その辺で、止めときなさい。[オレ、そんなねちねち女なんか、嫌だ]って、もしも昴に嫌われたらアンタ、大泣きじゃ済まないでしょう? それとも、嫌われても良いの?」「……やだ」「だから、不毛な事は止めときなさい。気持ちは分かるけど。過去はどうにも出来ないの。それに、今は誰が見たって[チビバカ]なんだからさ。良いじゃないの。ほら、早く食いなさい」 そう言って彼女の口に自分のおかずを押し込んだ。モグモグ食べる彼女に、室長が聞く。「どう? それ、旨いでしょう?」 本当に旨かったらしい。目がぱぁーと輝いた。コクコク頷き、頬を押さえて言った。「うまーい! 超、旨かったー! 何だこれ……」「ね? イケるわよねえ。それ。特別にやったのよ?」「うん、ありがとう」「よし、よし。じゃあ、アンタのこれ、もーらい」「わぁー」 さっき、膨れてたのをもうすっかり忘れたみたいに室長とわぁー、わぁー言ってる。「わー、チビって単純だなー」 如月が呆れたように言う。明智さんや小笠原が笑う。「ええやん、ええやん。そこも、お嬢の良さやんか」「そうだねえ。それに、おチビちゃんはやっぱり笑ってる方が可愛いよね」 そう言いながら、内心ホッとしてるオレをチラリと見て[助かったねぇ]とでも言いたげな顔で、小野瀬さんが笑う。(だな。二人ならケンカになってたかも……。しかし、西島が芸能人で良かった。本当にオレの仔猫ちゃんは……しょーがねーな。ま、ニャンコは気ままな浮気もんが多いのか。これはしっかり、掴まえとかねーとダメだ。うかうかしてらんねーわ) 可愛いオレのKittenを見ながら、ちょっと苦笑いのオレだった──。──浮気なKitten──End.2014年11月頃に書いた短編です。
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