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──低気圧ガール。── 定時を過ぎて残業の合間ソファーに男連中がたむろってお茶をしながら、チラチラと彼女の様子を伺う。ここ数日、彼女のご機嫌が非常によろしくない。それでも昨日まではまだ、周りに気を使って抑えようとしているように見えた。それが今日は、もう我慢も効かないほどイライラするらしく、最悪気味にご機嫌が悪い。 このオレもここまでのは、これまで見たことがない。仕事はいつも以上に黙々とこなしている。だが……。ため息をついたかと思えば、イライラし始め明らかに様子がヘンなのだ。今も、頭をわしゃわしゃと掻き乱し『あ゛ーもぉーっ!』と机にゴチンと突っ伏した。 人間だからそんな時もあるし、たまには気を使わず、機嫌が悪くてもかまわないと思う。ただ、原因が気になる。ここまでという事は、余程のことかも知れず彼女が心配だ……。 この珍しい事態にオレ達は、どうしたものかと対応に困っているところだ。室長が声を落としオレに聞いて来る。「……おい、昴。今日もか?」「はい」「で、原因は? チビ助、*ゲロったか?」「いえ、*カンモクです」「チビのカンモクって手強そうー……」「ああ。如月、手強いなんてもんじゃねーぞ。ブリザードがふく」「えぇー、一柳さん相手でも? すごいですね。それ……俺、怖い」「昴バカの彼女が、よっぽどだね。如月。きっと、君なら地獄行きなんじゃないの?」「だな。小笠原。俺も如月相手なら、血の雨が降ると思う。しかしチビが、珍しいよな。こんな事は初めてじゃないか?」「明智さん、そうですよね。お嬢は気ぃ使いやから、こないなことはなかなかないわ。昴、ケンカとちゃうねんな?」「ケンカ? いや、してねーよ。それに、これといって……身に覚えもぉ……何も、ねーぞ?」 その時小野瀬さんが、捜査室に入って来た。明るくいつものノリで、彼女に声を掛ける。「おチビちゃん。珈琲、淹れてくれるかな?」 そういえば小野瀬さんは、出張でここ数日は警視庁にいなかった。つまり彼は、現状を知らない。彼女は突っ伏した顔を横に向け、ちろりと小野瀬さんを見る。そして、物凄く低い声で返した。「へーーぃー」 緩慢にむっくり起きると、気だるそうに立ち上がる。「おや? おチビちゃん。珍しくご機嫌斜め? あ、もしかして女の子の日? 俺が看病してあげようか?」 いかにも小野瀬さんが言いそうな軽口ではあるが……。場合が場合なだけに、聞いていたみんなはギョッとする。彼女がキレるんじゃないかと、ハラハラした。何も知らない小野瀬さんだけは、全くいつも調子だ。室長がおでこに手を当てて『はぁー』とため息をついた。*ゲロった:自白した*カンモク:完全黙秘
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