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── チョコよりも甘く……。── 「ただいまー。おい、具合はどう──あっ! お前、何してんだよ。寝てろって言ったろ?」 定時で上がり即行で帰宅してみれば、パジャマにはんてんを羽織りマスクをした彼女がうろうろしてる。どうやら、飯の支度をしてたようだ。今日は彼女の非番の日。バレンタインデーだったので、予定ではおうちで二人でバレンタインをするはずだったんだが。 昨夜ベッドに入った時、彼女の体温がいつもより高かったのが気になった。そして今朝、案の定彼女は熱を出した。最近ちょっと忙しかったのと、このところの寒さのせいだろうと思う。他の症状はみられなかったのでとりあえず、様子を見る事にした。 仕事に出る前におとなしく休んでろと念を押して出掛けたんだが、こういう事態も予想して急いで帰った次第だ。「こぉーら! ダメだろうが」 コートも脱がず急いで傍に行き、持っていたものを取り上げ叱る。悪戯を見つかった子供のような顔で曖昧に笑う彼女。「もー、笑って誤魔化そうとするな」 そう言ったものの、そんな彼女も可愛く思えてしまう。本当はその笑顔につい、誤魔化されそうになっているオレ。 だが、まるめ込まれるワケにはいかない。具合が悪化したら大変だ。彼女のペースに流される前に、ここは早急にベッドへ運んで寝かしつけてしまおうと、さらにもう一歩接近する。「昴ーぅ。もう熱、下がったよ。今日、バレンタインでしょう? でもさぁ、すぅ。まだきみのチョコレートが、実は出来てないんだけどぉ。やっちゃダメ? それにご飯くらい……それっぽくしたいなぁ」 ちょっと甘えを含むその声に視線を移すと、上目使いの強烈なお願い光線がオレをとらえる。(……ああ、もうダメだ。仕方ねえなぁ。そんな可愛い顔しちゃって。さっきので陥落寸前まで来てたのに。これはもう、口説き落とされちゃうだろうが。こんな顔見ちゃったらオレの負けだ。惚れた弱みでつい、ってやつだよ。でも、無理はさせらんねーし……) ちょっと苦笑いしつつ『今年も海外式だ。支度はオレがするから迎えに行くまでベッドでおとなしくしてなさい』と言ってきかせる。『はぁーいー』と子供のみたいに伸ばし気味な返事をした後で『えへへ』と笑うキミ。その無邪気な笑顔に胸がキュンとした。(姫の方が、チョコレートなんかより──いや。くらべもんになんねーくらいに甘くて痺れる。存在そのものが──もう……。オレには十分、甘い) そう思ったら愛しさがじわじわと湧いて来た。幸せにほっこりと、心があったまるような感じがした。
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